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「常勝」を目指すヤマハ都市対抗初戦敗退からの巻き返し 社会人日本選手権へ照準

 

今夏の都市対抗は明治安田との1回戦で8回コールド敗退。この黒星を次への糧とする[写真=田中慎一郎]


「VAMOS〜GET TO THE TOP〜」(さあ行くぞ! 頂点へ)のチームスローガンを掲げ、今夏の都市対抗では優勝候補の一角に名前が挙げられていたヤマハ(浜松市)。しかし、結果は無念の初戦敗退。34年ぶりに挑んだ黒獅子旗への夢ははかなく散ってしまった。

 昨夏の都市対抗で準優勝したチームを今季から引き継いだ申原直樹監督(中大)は「打線はどこからでも得点が取れるので、あとは小技や走塁などやるべきことがきちんとできれば。投手陣は絶対的なエースはいませんがいろんなタイプがそろっているので総合力で勝負したい」と戦力を評価していた。そして、「常勝になりたいという目標のなかで着実に力を付けてきました」と振り返る。

 その言葉のとおり、4月のJABA静岡大会と京都大会は準優勝。5月の東北大会では優勝を飾り、都市対抗の東海地区二次予選は「チャンスが少ないなか粘り強く戦って相手の隙を突くことができました」(申原監督)と、4連勝で第1代表となるなど素晴らしい戦績を残してきた。

 バットでチームを引っ張った元DeNA網谷圭将(千葉英和高)は「トップからインパクトまでのスイングスピードを速くしたことで、ボールを引きつけて打てるようになりました」と京都大会は打率.524(21打数11安打)、3本塁打で首位打者賞と敢闘賞を受賞。さらに、東北大会でも打率.500(12打数6安打)で首位打者を獲得した。

 正捕手の大本拓海(立命大)は「JABA大会で順調にステップを踏むことができて選手は自信を付けていましたし、昨年よりもレベルアップできていると感じていました」と手応えをつかんで、東京ドームへ乗り込んだ。

「入り」の難しさ実感


 都市対抗1回戦は明治安田(東京都)と対戦。高卒4年目・相羽寛太(静岡高)の犠飛で2回表に先制したものの中盤はなかなかチャンスを作れず。同点に追いつかれると7回裏には5失点。それでも8回表は連打で無死一、二塁としたが網谷の三遊間への打球は好守に阻まれて無得点に終わると、8回裏は救援陣が打ち込まれ、またも5失点で1対11。8回コールドで大会を終えた。

 申原監督は「選手は慢心することなく、ひたむきにやってくれましたが大会の初戦を勝つのは難しい」と話し、網谷は「相手の流れを変えられなかった。チャンスで打てなかったのは自分の力不足」と口にした。

 大本は「今年は周囲からの期待も感じていましたし、優勝するためにやってきたのですが難しかった。ただ、これで負け続けてしまうと昨年の良い経験の意味がなくなってしまうので今のメンバーがいるうちにもっと上を目指し、勝っていくなかで成長していきたい。戦力はあると思っていますし、申原監督は『常勝チームを作りたい』と言っているので負けないチームにするためにはどうすればよいのかをもう一回、メンバーと話し合って考えていきたい」と巻き返しを固く誓った。

 社会人野球は一発勝負のトーナメントで日本一を決めるため常勝となるのは容易ではないが、茨の道を進むヤマハ。すでにJABA東北大会優勝で出場を決めている秋の社会人日本選手権に、照準を合わせていく。(取材・文=大平明)
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