高校卒業後は関東の強豪大学へ進学。4年後のプロ入りを目指す[写真=井上幸太]
93年ぶり夏の甲子園8強
心は熱く頭は冷静に――。イギリスの経済学者のアルフレッド・マーシャルが残した名言である。
元々、経済学を学ぶ者に求められる素養を指しているが、いつしかスポーツ界でも、金言として扱われるようになった。心をたぎらせながらも、頭に血を上らせることなく、思考はクリアなまま戦う。確かに、勝負においても求められる素養だ。
今夏の甲子園で、この言葉通りの投球を見せた投手がいた。93年ぶりに8強に進出した大社のエース左腕・馬庭優太(3年)である。
ピンチをしのぐと、マウンド上で吠え、味方を鼓舞。その一方で、甲子園初登板となった報徳学園高との1回戦の9回二死一、二塁のピンチで、初球に緩い変化球を投げ切るしたたかさ。熱い心と冷静な頭の両輪で、32年ぶりに甲子園に乗り込んだ古豪をけん引し、日本列島を沸かせた“大社旋風”を巻き起こした。延長11回タイブレークの無死満塁から中前にサヨナラ打を放った早実との3回戦の後に発した「野球って最高だなと思いました」は、2024年夏を語る上で不可欠な名言だ。
甲子園ではミズノ社製のキャメルカラーのグラブを使ったが、地元スポーツ店には「馬庭投手と同じモデルが欲しい」と問い合わせが殺到。フィーバーぶりを感じさせる。
進路を決定づけた試合
野球を始めたのは、小学1年生のとき。地元・出雲市の「高松野球スポーツ少年団」がキャリアのスタートだ。4年時から投手を務めるようになり、1学年上の
高野颯太(現
ヤクルト育成)とともに活躍・・・
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