
トヨタ自動車はHondaとの決勝を制して優勝。今夏の都市対抗限りで引退した41歳のレジェンド・佐竹功年氏のユニフォームも、歓喜の輪に中にあった[写真=松村真行]
夏までと夏以降でチームを作り変えた。今夏の都市対抗は2回戦敗退という悔しい結果に終わり、この大会限りで41歳のミスター社会人・佐竹功年投手(早大)がユニフォームを脱いだ。節目を迎えると、
北村祥治(亜大)から
逢澤崚介(明大)に主将交代。シーズン途中では異例の措置だった。新体制で臨んだ社会人日本選手権では若手と中堅、ベテランの力を融合させ、住友金属と並ぶ歴代最多タイとなる7度目の頂点に立った。
打線では入社1年目の
熊田任洋(早大)と2年目の宮崎仁斗(立大)を二番と三番に抜てきし、新風を吹き込んだ。投手陣では2年目の
増居翔太(慶大)が左のエースへ成長。キレの良いストレートは9回でも140キロ台後半を連発し3試合で3勝を挙げて2完封、防御率0.38という圧巻の投球でMVPを受賞。主将・逢澤はHondaとの決勝で1回一死一、二塁から先制3ラン。この一発が決勝点となり、増居が7安打シャットアウトで胴上げ投手に輝いた。
「若手が自覚を持ってやってくれている。思い切ってやってくれているからこそ、僕らも引っ張っていこうという思いがありますし、チーム全体で勝ち取った優勝です。来年につながる選手権だったと思います」(逢澤主将)
増居の1学年上でバッテリーを組んだ
福井章吾(慶大)が3年目までの若手ミーティングを開き、中堅勢も外野は俊足の
徳本健太朗(青学大)、内野は好守の遊撃手・
和田佳大(中京大)がまとめる。各自がしっかりと役割をこなし中堅、ベテランの作った土台の上で若手が思い切りよくプレー。好循環を作り上げ、勝利と育成を両立させる王者らしい勝ち上がりだった。(取材・文=小中翔太)
■第49回社会人野球日本選手権大会結果 
※丸数字は延長回数
【表彰選手】 最高殊勲選手賞:増居翔太(トヨタ自動車/投手)
敢闘賞:
東野龍二(Honda/投手)
打撃賞:古田塁(JFE東日本/内野手)
首位打者賞:
佐藤勇基(トヨタ自動車/内野手)打率.563(16打数9安打)