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2025社会人注目選手

NTT西日本・高井駿丞&井上幹太 期待の即戦力新人が圧巻デビュー ルーキーコンビ・投打で存在感発揮

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左腕・高井[左]と井上は新人ながら、すでにチームの中心選手である[写真=矢野寿明]


 NTT西日本の左腕・高井駿丞(駒大)と左の強打者・井上幹太(金沢学院大)が3月のJABA東京スポニチ大会で新人賞を受賞。NTT西日本・河本泰浩監督(駒大)が「高井は試合になるとグッと入り込んで物おじしないのが良いところ。井上は逆方向に長打を打てるのが魅力です」と評価する両ルーキーが社会人の舞台で、最高の滑り出しを見せた。

 最速146キロの高井はスライダー、カットボール、チェンジアップを操るサウスポー。冬は出力を上げることをテーマにしてきた。「ウエート・トレーニングで全身を鍛えてきたのですが、これまでとやり方を変えて速く上げることを意識してきました。瞬発力を高めてきたおかげで力を出しやすい体になってきたと感じています」。フォームは大学時代から変えていないというが「良いストレートを投げるために、とにかく腕を振ることに重きを置いています」と話し、投げる姿は躍動感にあふれている。

 JABA東京スポニチ大会では茨城トヨペットとの予選リーグ3戦目で先発すると、6回を3安打1失点の好投。キレの良い速球に変化球を織り交ぜた投球で、4回表は3つのアウトをすべて三振で取ると、5回表もストレートで2三振を奪うなどイニングを跨いで4者連続三振。打者22人に対し11奪三振で四死球なしと素晴らしいピッチングで初勝利を飾った。

「リリーフに好投手がいるので、初回から飛ばして投げています。三振が多かったのはたまたまです」

 一方「まだ1試合しか投げていないので『ここが一番良かった』と言われないように、これからもしっかりと投げて信頼してもらえる投手になりたい」と話していたが、4月のJABA静岡大会では東京ガスを相手に1失点完投。昨年、ドラフト1位で指名された伊原陵人(阪神)が抜けた穴を埋める活躍を続けている。

逆方向への打球が得意


 長打力が持ち味の井上は左打ちのスラッガー。高校3年時、大学4年時にプロ志望届提出も、指名漏れに終わった。社会人投手に対しては「真っすぐが強いので立ち遅れないように心掛けています」と語っているが、そのタイミングの取り方は独特でややオープンに開いた右足を小刻みに2度上げてからスイングをしている。

「大学2年のころから今のフォームなんですが、気が付いたら自然とこうなっていました」。信条は「とにかく強く振ること」で、社会人でも「打撃で勝負したい」と話す。JABA東京スポニチ大会では大阪ガスとの準決勝で3安打。1打席目は「大学のころから逆方向へ打つことをずっと練習してきました」とセンターの左へ先制の適時二塁打を放つと、2打席目も中前適時打。四球を挟んで4打席目は一、二塁間を破る同点打と3打点を挙げ「まだ社会人に入ったばかりですが、自信になります」と大会打率.400(10打数4安打)の好成績を残した。今後については「1年を通してレギュラーとしてプレーし、都市対抗と日本選手権で優勝したい」と目標を語っている。

「高井はこれくらいやってくれる投手。井上は社会人の一線級の投手を経験できたのでこれからの成長につなげていってほしい」と、期待を口にする河本監督。NTT西日本は昨年の都市対抗でベスト8だったが、新たな戦力を加えて、上位を目指す。(取材・文=大平明)

PROFILE
たかい・しゅんすけ●2002年5月21日生まれ。広島県出身。186cm88kg。左投左打。五日市東小2年時からベースボールスクールポルテで野球を始める。井口台中では同校の軟式野球部でプレー。広島商高では2年秋からベンチ入りし、エース番号を着ける。3年夏の広島県独自大会では4回戦で8回参考ながらノーヒットノーランを達成して優勝。駒大では1年春から登板し、一部リーグ通算3勝、二部通算6勝。NTT西日本では、1年目から先発を任される。

いのうえ・かんた●2002年4月11日生まれ。熊本県出身。185cm100kg。右投左打。鍋小1年時から岱明町少年野球クラブで野球を始める。岱明中では熊本北シニアでプレー。神村学園高では1年秋からベンチ入り。3年夏は鹿児島県独自大会優勝。金沢学院大では打率.400、14本塁打。92打点。ベストナインは外野手で3回、指名打者で2回受賞。NTT西日本では1年目から出場している。

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