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2025社会人注目選手

ルーキー・櫻井亨佑(JFE東日本)が目指す打撃スタイル 大卒2年目のプロ見据える左の大砲

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3月のJABAスポニチ大会では、三菱自動車岡崎との予選リーグ第3戦で初先発[二番・中堅]。初回に左前打[写真]を放つと、5回にも中前打を記録した[写真=大賀章好]


 今季からJFE東日本でプレーしている新人・櫻井亨佑は、習志野高では2年春のセンバツに四番として出場。明豊高との準決勝では同点の8回に勝ち越しのソロホームランをライトスタンドへ打ち込んで、チームの準優勝に貢献。中大では3年秋打率.351で首位打者となり、12月の侍ジャパン大学代表の強化合宿に参加。4年時は主将としてチームを引っ張った。しかし、プロ志望届を提出するも、ドラフト会議では指名の声が掛からず「調査書が来ていなかったので、ドラフトで指名されなかったときは『社会人でやってやる』と思っていました」と決意していた。

 JFE東日本では合流して早々、壁にぶち当たった。

「大学に入ったときも違いを感じましたが、社会人はそれ以上ではるかにレベルが高くなったと実感しています。フィジカルもスキルもすべて劣っていて、実力不足を痛感したので気合を入れ直しているところです」

 冬場は、体づくりから始めた。

「まずは体を強くするため、ウエート・トレーニングで全身をくまなく鍛えてきました。パワーが付いてきたのは感じていて、これまでベンチプレスでは105キロを1回上げるのが精一杯だったのですが、今は同じ重量を5回上げられるようになりました。自分の長所は広角にヒットが出せるところなので、その良い部分を残しながら長打を増やしていきたい。そして、大学時代はやっていなかった瞬発系のトレーニングも取り入れていますし、まだまだ細いのでこれからも継続してやっていくつもりです」

 体力面を向上させ、次は技術面に生かしていくのかが課題。フォームの修正にも取り組んできた。

「上半身と下半身を連動させることをテーマにしています。上と下がバラバラに動くと、うまく力が伝わらない。逆に下が動いてから上が付いてくるようになれば、打球の質が変わり良い打球になりますし、いろいろな変化球に対応できる。タイミングの取り方やトップなども含め、試行錯誤しているところです」

優れたコンタクト率


 3月のJABA東京スポニチ大会では二番・中堅で三菱自動車岡崎戦に先発出場。「緊張感はありましたが、素直にうれしいです」と第1打席で左前打を放ち、社会人での初安打を記録すると第3打席は中前打を放ちマルチ安打を達成した。「2本ともキレイな当たりじゃありませんでしたが『詰まってもフルスイングをすれば外野の前に落ちる』と考えていて、追い込まれても振り切ることを意識していました。これまで練習でやってきたことが試合でも出すことができたと思います」。この試合で2安打2得点の活躍に、落合成紀監督(東海大)も「コンタクト率が高いのが櫻井の特長。社会人の舞台でもその力を十分に発揮してくれています」と打撃センスの良さを認めている。

 当面は「チーム内のレギュラー争いに勝つことが目標。目の前のことを一つずつクリアしていけば、プロへ行けると信じて頑張っていきたい」と櫻井。社会人野球の高いハードルを飛び越えたその先に、追い求めるプロへの道が続いている。(取材・文=大平明)

PROFILE
さくらい・こうすけ●2002年6月25日生まれ。千葉県出身。178cm85kg。右投左打。幼稚園年長から下総ファイターズで野球を始め、成田市立下総みどり学園を経て、習志野高では1年夏からベンチ入りし、2年春のセンバツでは準優勝に貢献。同年夏は甲子園2回戦敗退。中大では1年春にリーグ戦デビューし、3年秋は打率.351で首位打者とベストナイン受賞。JFE東日本では1年目から公式戦に出場。

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