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第74回全日本大学野球選手権大会

2度目の準優勝で得た手応え 元プロ指揮官の下福井工大が見据える新たな目標

 

東北福祉大との決勝は1対8の力負けも、最後まで全力で戦った[写真=矢野寿明]


 福井工大は全日本大学選手権で4年ぶり2度目の決勝進出。惜しくも初優勝に届かなかったが、堂々の戦いぶりを見せた。指導に当たるのは広島で活躍した町田公二郎監督だ。

 町田監督は現役引退後、阪神、広島のコーチを経て、社会人野球の三菱重工広島で監督に就任。2015年の都市対抗では4強へ導いた。21年には福井工大の野手総合コーチとなり、23年11月から監督として指揮を執っている。「社会人はアマチュアと言ってもプロに近いところがありますが、大学は学生ですから野球をするなかで人として成長できるところを学んでほしいと考えています」。主将の高松紳志(4年・明徳義塾高)は「町田監督は選手の気持ちを一番に尊重してくれます。そして、目標は日本一。目的には人間形成を掲げていて、社会へ出たときにどんな人間になっているのかが大事なんだと教わっています」と、学生にもその思いはしっかりと浸透している。高松主将がスローガンに定めたのが「氣〜勝利に熱き喝采を〜」だ。

「昨秋のリーグ戦では金沢学院大に2度もコールド負けをしてしまい、ミーティングで涙を流してしまいました。あんな思いはしたくないという気持ちを全員が持ってくれているなか、気持ちを前面に出して戦うためにこのスローガンにしました」

ミスを周りが必死のカバー


 今大会、近大工学部との1回戦では8回に同点に追いつき、9回に高松主将がサヨナラ2ランを放って初戦突破。中京大との準々決勝は8回に逆転して2対1で勝ち上がり、準決勝は東海大を6対5で振り切った。町田監督は「誰かが失敗しても、周りが鼓舞してカバーできている。それが良い結果につながった」と話し、高松主将は「投手が最少失点でしのぎ、追う展開になってもあきらめていないので接戦をモノにできています」と粘り強さの理由を明かす。

 最少失点で抑えてきた投手陣を今年1月から指導しているのが澤崎俊和チーフ投手コーチだ。赤ヘル軍団で同じ釜の飯を食った町田監督は「常駐で、しっかりと見てくれているので、とても心強い」と話しており、抑えとして4試合に登板した土合章太(3年・北陸高)は「澤崎コーチから『投げ込みの量が少ない』と言われ、昨年まで週1、2回だったブルペン練習が4回に増えました。そして、『練習に取り組む姿勢を変えてみよう』と言われ、自分なりに走り込みを増やし、シーズン中もウエート・トレーニングをして筋量を落とさないように心掛けました」とタフさを身に付けた。

 東海大との準決勝の8回裏二死一、三塁のピンチではタイムがかけられ「澤崎コーチから『こういう場面では練習してきたことが出る。お前はきちんとやってきたんだから、自分を信じてミットをめがけて投げろ』と言われました」と、次打者を二ゴロに仕留め、1点のリードを守りきっている。東北福祉大との決勝は1対8で敗退。相手先発の櫻井頼之介(4年・聖カタリナ高)に完投を許し「先発で最後まで球速が落ちない投手陣をつくれるように頑張りたい」と話した町田監督。今後も昨年6月に就任した黒坂洋介ヘッドコーチ(昌平高元監督)、澤崎コーチによる強力体制で、育成を推し進めていく。(取材・文=大平明)
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