
パナソニックとの第5代表決定戦で惜しくも敗退したが、多くの収穫を手にした[写真=小中翔太]
強豪ひしめく近畿地区で昨年、企業登録したばかりのYBSホールディングスが大健闘を見せた。強豪チーム相手に金星3つ。都市対抗出場にあと一歩のところまで迫った。
1996年にクラブチームの全播磨硬式野球団として誕生し2021年6月にYBS播磨へ名称変更。この時から本格強化に乗り出した。3年間はクラブチームのまま土台作りを進め、4年目の昨年にYBSホールディングスとして企業登録。この間に獲得した選手が力をつけ、今年は都市対抗出場に王手をかけるまでに成長した。近畿地区二次予選の大阪ガスとの第1代表決定トーナメント1回戦ではゲームメーク能力に優れる好左腕・石本涼人(
広島経大)が6回1安打無失点に抑えると、終盤は鋭いスライダーを操る柳原優太(日本文理大)が抑えて完封リレー(4対0)。2日後には日本製鉄瀬戸内を延長10回タイブレークで4対1で破り、同準決勝に進出した。その後は黒星続きとなってしまったが、第5代表決定トーナメント1回戦で三菱重工Westの守備の乱れにつけ込んで二ケタ得点(11対6)を挙げ決勝へ。最後の1枠のパナソニックとの第5代表決定戦に0対8。悲願の都市対抗はならなかった。
濱川皓監督(富士大)は手応えを口にした。「(5月27日の初戦から6月30日の第5代表決定戦まで)1カ月丸々、最初から最後までやって、選手たちの成長を感じられた。次につながる大会だったなと思います。どういう状況でもあきらめないで、自分たちのやりたい野球ができたのは昨年から変わったところだと思います」
約1カ月の消耗戦に屈す
新興勢力のチームにとっては試合だけでなく、日々の過ごし方も貴重な経験となった。主将・米麦波留(大阪公立大)は大学時代も主将としてチームを初の全日本大学野球選手権に導いた実績の持ち主。激動の1カ月を「これだけ大会のプレッシャーある中で生活したのが初めてでしたし、試合を重ねるごとに体的にもメンタル的にも疲れていって体力不足でした。これだけ試合をさせてもらって重圧のある中で良い経験をさせてもらったし、その中で波があれば安定的に勝てないというのも強いチームとやらせてもらって勉強になりました」と振り返った。
喫緊の課題は石本、柳原の2本柱頼みとなっている投手陣の底上げだ。パナソニック戦で150キロ台のストレートを連発した永山裕清(愛媛大)らポテンシャルの高い投手は多いが、まだ実戦における安定感には欠ける。必要なのは経験だ。26歳が最年長という若いチーム。大学時代に強豪校の主力だった選手は少ないが、チーム強化の方針に可能性を感じた選手が集まった。主力左腕・石本もその一人。「(監督の)濱川さんに声を掛けてもらって、新しくできると聞いて飛び込んでみよう、と。社会人は勝たないと次がないので。どんな調子でも勝てるピッチャーになって、日本選手権予選で勝てるように頑張っていきたいと思います」。
今回の躍進でYBSホールディングスの名が、社会人野球ファンに広がった。米麦は「次がなければ全然ダメだと思うので、今回の経験を生かして強いYBSを見せられるようにやっていくしかないなと感じます」。悲願の2大大会出場へ。次はもっと大きなサプライズを起こす。(取材・文=小中翔太)