第96回都市対抗野球大会は9月2日に大会6日目を迎えた。第3試合、1回戦最後のカードはENEOS(横浜市)対JR西日本(広島市)だ。西関東地区第1代表、優勝候補に挙げられるENEOSには、NPBスカウトも注目のスピードを持つ男がいる。 文=佐々木亨 写真=井田新輔 松浦佑星のプレースタイルを形作っているのは、スピード感が溢れる脚力だ。50m走は6秒切り。まさにスピードスターである。ENEOSでの2年目を迎えた今シーズン、「足を使ったスピード」が特徴だと自負する松浦は、より自信を深めてグラウンドに立つ。
「自分よりもうまい選手はたくさんいますが、走攻守において高いレベルでプレーできつつある実感はあります」
日体大時代はプロ志望届を出した。秘めた脚力を注視するプロ野球のスカウト陣がいたのは事実だ。だが、4年時に度重なる怪我に見舞われて、松浦の能力は影を潜めた。
「4年生のときは、年間を通して捻挫、肉離れ、骨折、また肉離れ……。筋力がスピードに追いつけずに体がパンクしちゃうみたいなところがありました」
ENEOSに入ってからは、「フィジカルが追いついた」ことで驚異のスピードを生かしたプレーが磨かれていく。ただ、「ガムシャラにやっていた」という1年目の昨シーズンは「行き当たりばったりの結果が多かった」と話す。初めての都市対抗では、東海理化との1回戦で3安打、東京ガスとの2回戦で1安打を放ち、それなりに結果は出した。東京ドームの経験は自信につながったが、「確かなもの」をつかんだ感覚にはなれなかった。
今シーズンは、新たな感覚でプレーする。
「成績にとらわれない。地に足をつけて、自分のスタイルを変えないことを意識しています」
松浦がもう一つ意識しているのが『脱力』だ。
「今年の春前ぐらいですね。走攻守すべてにおいて脱力を意識するようになって、体がスムーズに動くようになった。落ち着いてプレーができるようになりました」
今夏の都市対抗西関東二次予選では打率.400で高い出塁率を誇り、堅守と俊足も加えながらチームの6年連続55回目の本大会出場に貢献した。
「東京ドームでもチームが勝って、自分の成績も残すことができれば一番いいですが、やるべきことをやって、結果が出ることを信じるだけです」
迎える2度目の真夏の祭典でも、松浦のスピードは脅威となりそうだ。
PROFILE まつうら・ゆうせい●2001年10月6日生まれ。宮崎県出身。175cm77kg。右投左打。内野手。三納小1年から三納野球スポーツ少年団で野球を始め、投手兼捕手。三納中では宮崎スラッガーズで遊撃手。富島高では1年秋から背番号6。2年春、3年夏は主将として甲子園出場。日体大では1年秋に遊撃手、3年秋は二塁手としてベストナインを常勝。ENEOSでは入社1年目の昨年は都市対抗を二番・遊撃、日本選手権は一番・二塁で出場。2年目の今季は遊撃手として起用されている。