
前回優勝の三菱重工Eastは初戦敗退を喫した[写真=矢野寿明]
社会人野球の頂点を争う真夏の祭典・第96回都市対抗野球大会が8月28日に東京ドームで開幕。今年は例年よりも1カ月半ほど遅い時期の開催となったが出場32チームの熱い思いはそのままに、激闘の火ぶたが切って落とされた。
開幕戦には前回大会優勝の三菱重工East(横浜市)が登場。攻守にレベルの高い選手がそろう中、昨季は破壊力のある攻撃力とバッテリーを中心にした守備力がかみ合い、日本選手権でも4強入りするなど、各大会で上位に進出。主将の矢野幸耶(北陸大)が「何をやっても勝つことができました」と振り返るほどだった。
黒獅子のエンブレムを着けて戦う今季は昨年から継続してやってきたことを踏襲。佐伯功監督(東北福祉大)は「常に『自分たちは日本一に相応しいのか』を自問自答しながら選手たちは取り組んでくれていたので、こちらから何か言う必要もありませんでした」と意識の高さがうかがえた。特に守備については「完璧にやるのを当たり前にしようと言ってきました」(矢野主将)とさらに磨きをかけてきた。また、「今季から練習でチームをまとめるのは2年目で副主将の
中前祐也(中大)に任せていました。中前にいろいろと言わせて、それでも緩んでしまうときは話し合いの時間を取って自分も言葉でチームを締めてきました。コミュニケーションは昨年よりももっと深く取ってきています」(矢野主将)と、若手に役割を与えながらも、野球への真摯(しんし)な姿勢を貫いた。
大会連覇のプレッシャー
勝負の世界は厳しい。今年はなかなか結果が伴わなかった。4月のJABA長野大会こそ決勝まで勝ち上がったが、5月の東北大会と8月の北海道大会はともに予選リーグ敗退。7月の侍ジャパン大学代表との練習試合では3本塁打を含む22安打で13点を奪われ、2対13で大敗した。「周囲から優勝チームとして見られる中、JABA大会を獲れず、オープン戦もやられて、昨年よりキツいシーズンになりました」(矢野主将)。前回王者は予選免除の難しさがある。それでも大会直前のオープン戦では強豪相手に3勝1敗。
「やるべきことはやってきました」(矢野主将)と都市対抗の初戦に臨んだ。対戦相手は近畿第1代表のNTT西日本(大阪市)。試合は昨年、橋戸賞を受賞した本間大暉(専大)が5回を無失点に抑える好投を見せ、どちらも得点がないまま終盤へ。しかし、9回表に元
阪神の
北條史也(光星学院高、三菱重工Westから補強)に都市対抗野球における東京ドーム通算2100号となる2ランを浴びると、9回裏の反撃も1点にとどまり、1対2で惜敗。無念の初戦敗退となった。「前回優勝チームで都市対抗の予選がなかったこともあり、今年は修羅場をくぐれていなかった」と佐伯監督。矢野主将も「開幕試合でプレッシャーがありました」と話しており、大会連覇の難しさを改めて露呈した。
それでも、新人では川久保瞭太(同大)が先発出場、
印出太一(早大)も代打で安打を放った。矢野主将は「若手が出てきているので、秋はその若手に付いていくだけです」とベテラン・中堅に新戦力を加えて雪辱を期す。(取材・文=大平明)