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第96回都市対抗野球大会

三菱自動車岡崎・清川大雅が防御率0.00で抑えた理由 新たなステージ見つめるルーキー

 

都市対抗準優勝に貢献した三菱自動車岡崎・清川[写真=矢野寿明]


 背番号14が、締めのマウンドに向かう。額に汗をたっぷりと浮かべながらも、ルーキー右腕は冷静に、要所では怯むことなく140キロ台中盤のストレートを投げ込む。高校時代から投げてきたフォークボールもまた、相手打者にしてみれば厄介な変化球だ。この夏、三菱自動車岡崎の清川大雅は、信頼される「抑え」として大きな光を放った。第96回都市対抗野球大会では、東海二次予選(5試合で6イニング)と本大会(4試合で5イニング)を通じて1点も奪われなかった。

 防御率0.00。

 その数字とパフォーマンスは、新人賞にあたる若獅子賞と双璧だったと言える。「若獅子賞を獲りたかったですね……」。本音をポロっとこぼす清川が、無失点で終えた都市対抗のマウンドを振り返る。

「1年目で何も分からない中でも自分なりに調整して、ゼロで投げ切れたのは成長だと思います」

 三菱自動車岡崎の梶山義彦監督は、清川をこう評するのだ。

「清川にとっては初の都市対抗のマウンド。本大会では緊張したのか、本来のピッチングではなかったと思いますが、よく投げてくれた。決勝では、これ以上は点を与えられないという場面で投げることの大変さを感じたと思う。(その経験も踏まえて)もっと上がっていくピッチャーです」

高校時代は「二刀流」


 投手としての階段を一歩一歩、確かな足音とともに駆け上がってきた。岩手県生まれの清川は、地元の強豪校である花巻東高では主に二塁手として活躍した。高校通算本塁打は10本以上を数える「好打の内野手」だった。それでいて、140キロ台のストレートと、キレのある変化球を投げ込む投手として時にはマウンドに立った。主将も務めた高校時代は、言わば「内野を守りながら投手もできる」二刀流の顔を持っていた。関西学生野球連盟の同大に進学後は、投手に専念した。

「大学では投手が打席に立つリーグだったので、野手と投手をどちらもできるなという軽い気持ちで投手をやりました」

 クスッと笑って当時を思い起こす清川は、同大では主にリリーフを務めた。4年春のリーグ戦では防御率0.39と圧倒的な数字を残す。大学4年間で投手の資質を開花させた。

 彼にとっての社会人野球は、目指すべき場所だった。花巻東高2年の冬、清川は関東の強豪社会人チームに練習参加した。社会人野球のトップレベルに触れ、「いつかはその舞台で」と胸を熱くした。

「当時は、プロに行く選手と自分の実力に差があると感じていましたし、社会人野球を目指して都市対抗で優勝したいと思っていました」

 無失点を継続した今夏の都市対抗では、その願いが成就する一歩手前まで上り詰めた。社会人野球に身を置き、1年目から都市対抗決勝のマウンドに立つことができたことで心境に変化が生まれた。

「まだまだ課題はありますけど、(プロを)目指したいなという思いに変わってきました」

 目指すものが増えた。投手としての自信を深めた清川は今、新たなステージを見つめている。(取材・文=佐々木亨)

PROFILE
きよかわ・たいが●2002年10月3日生まれ。岩手県出身。176cm75kg。右投右打。一戸南小4年から一戸スポーツ少年団で野球を始め、6年時には楽天Jr.でプレー。一戸中では軟式野球部に所属して岩手県選抜。甲子園に出場した花巻東高では主に二塁手で、140キロ台中盤の直球を持つ投手としても活躍。3年時は主将。同大では投手に専念して主にリリーフ。4年春には11試合登板で防御率0.39。2025年に三菱自動車岡崎に入社すると、1年目から抑えとして活躍。準優勝の都市対抗では、予選、本大会を通じて無失点と好投した。
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