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西部ガスが目標とする「日本一」への道 貫いた全力疾走の信念

 

西部ガスを率いて2年目の松薗監督は九州勢として、1954年の八幡製鉄以来の都市対抗制覇を目指している[写真=矢野寿明]


 西部ガス(福岡市)を率いるのは就任2年目の松薗史敏監督(九州共立大)だ。昨年は都市対抗の本大会出場を逃し「チームの方針を変えなければいけないのかと悩みましたが、昨シーズンと同様に『失敗を恐れずにやっていこう』と説き、『次へ』という気持ちを選手に持たせました」と信念を貫いてきた。その思いはチームに浸透。主将・笹井健太郎(九州共立大)も「松薗監督が先頭に立って『恐れるな』、『挑戦するんだ』と口を酸っぱくして言っていたので、ずっと良い方向で野球ができていると感じています」と話す。

 同時に「当たり前のことを当たり前にやって、取れるアウトは確実に取ること。全力疾走で元気を出してプレーすることを徹底してきました」と松薗監督は語る。こちらもチームに受け入れられ、笹井主将は「全力疾走は誰でもできることですから。あとは何をするべきかを常に考えながら打席に立つこと。良いゲームができた時は徹底できていますし、昨年まではビハインドをひっくり返す力がなかったのですが、今季はやるべきことがやれていれば自ずと白星につながっています」とチームの成長を実感していた。

 6月の都市対抗・九州地区2次予選の初戦では宮崎梅田学園(宮崎市)に1点を先行されたが、6対3で逆転勝ち。KMGホールディングス(福岡市)との代表決定戦は松山翔太(宮崎産業経営大)の本塁打を含む3安打の活躍もあって2対1で競り勝ち、8年ぶりに第1代表で東京ドームへの切符を手にした。

自分たちの野球に手応え


 本大会は1回戦で日立製作所(日立市)と対戦。「先攻だったので先に点を取れたのが大きかった」(松薗監督)と1回表。先頭の樋口昇樹(沖データコンピュータ教育学院)がヒットで出塁すると、すかさず盗塁に成功。内野ゴロで進塁すると、井手隼斗(同大)の犠飛で先制し、バントを使うことなく機動力を駆使した失敗を恐れない攻撃で1点を奪った。その後も古川朋樹(東農大)の本塁打などで追加点を奪うと、先発したベテラン・村田健(東農大)は「動くボールを丁寧に低めへ投げました」と7回を5安打無失点。リリーフ陣も得点を与えない完封リレーで4対0と快勝した。2回戦は優勝した王子(春日井市)に0対4で敗れたが「全国の舞台でも自分たちの野球ができれば初戦のように勝つことができる。自信が付きました」と松薗監督。続けて「あとは得点力。全国レベルのピッチャーを打てるようにしていきたい」と語った。

 笹井主将は2度試みた盗塁がどちらも刺されたこともあり「自分たちの力を出し切れずに負けてしまったので悔しい」と唇を噛んだ。そして、「ただ、恐れずにやるだけでは上へ行けないので、精度の高さを求めていきたい」とさらにブラッシュアップしていくことを誓っている。今大会の目標には、チームの最高成績を超えるベスト4を掲げるも、達成することはできなかった。「1勝ではなく、優勝を目指していきたい」とさらに上を狙う笹井主将。九州勢による黒獅子旗の獲得は1954年の八幡製鉄(八幡市)までさかのぼる。長く阻まれてきた厚い壁に、風穴を開けていきたいところ。西部ガスは10月28日に開幕する社会人日本選手権に出場。この全国舞台を「次へ」の試金石とする。(取材・文=大平明)
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