
マツゲン箕島硬式野球部は東京ガスとの1回戦を2対5で敗退。出場8回目での初勝利はならなかった[写真=松村真行]
全日本クラブ選手権初連覇、都市対抗初出場、日本選手権初勝利。和歌山県で活動するクラブチーム・マツゲン箕島硬式野球部は「3つの初」を目標に掲げ2025年シーズンを戦った。悲願の都市対抗出場は逃したが、9月に全日本クラブ選手権で2年連続7度目の優勝を果たした。出場8回目の社会人日本選手権。初勝利には、あと一歩のところまで到達した。
2年連続で社会人日本選手権の開幕試合に登場し、今年は東京ガスに挑んだ。初回に浅井
颯茉(皇學館大)が内野安打で出塁し、盗塁を決める。入社1年目の俊足外野手がチャンスメークすると白瀧恵汰(立命大)の適時打で先制に成功した。細かい継投でつなぐ投手陣も、ピンチを踏ん張り6回までは1対1と互角の展開。7回に四球から崩れビハインドを背負ったが、簡単には終わらない。4点を追う8回、二死ながら一、三塁のチャンスをつくり、冨田泰生(明大)が右前に適時打を放って反撃した。安打数は相手と同じ11本。企業チーム相手に勝機十分の戦いぶりだった。
今年は例年以上に力のある投手が多かった。東京ガスとの1回戦で先発した奥田貫太(花園大)はサイドから繰り出す最速152キロのストレートが武器。二番手で登板した松村亮汰(日大)は常時140キロ台中盤のキレのあるストレートを投げ込む。全日本クラブ選手権ではMVPに輝いた。「シーズン前半、都市対抗まで1回も公式戦で投げられずに悔しい思いもしたんですけど、クラブ選手権も優勝してしっかり投げることもできましたし、今回の日本選手権も3イニングだけでしたけど、しっかり0で抑えることができたんでそこは来年につながるかなと思います」
相手が恐れる成長速度
元
オリックスの
中田惟斗(大阪桐蔭高)が加入したほか、坂本龍平(朝日大)も151キロの快速球を京セラドーム大阪のマウンドから投げ込んだ。
一昨年、昨年も10人以上が入社し平均年齢が若い。25歳で最年長の宮崎航大主将(神戸国際大)は言う。
「僕たちのいいところというのは成長がまだできるところであって、相手からしたら『あれ、半年前までこんなんやったのに』という選手が多いと思うんですよ。そういうところは本当に、相手からしても怖いところでもあると思いますし、やっぱり僕たちは若いので元気もあるし、勢いに乗ればもうどんどん乗っていくようなチームなのでそういうところはすごい強みですね」
都市対抗近畿地区予選で敗れたニチダイ戦と大阪ガス戦はどちらも2点差だった。目標に掲げた3つの初は決して夢物語ではない。現実味を帯びているからこそ宮崎は「全然、狙えたなっていうのは正直あります。いいところまで行けるのは自分たちの自信にしたい。そこからの展開は今後の課題になるので、どうやっていくのかを、冬の期間に乗り越えていきたいです。楽しみにしといてください」と敗戦直後でも力強く前を向いた。
噛み合わせ次第では企業チームを撃破できる、選手の誰もがその手応えとともに、冬を過ごす。歴史を塗り替える瞬間はもうすぐ、そこまで迫っている。(取材・文=小中翔太)