
現役時代は三菱自動車岡崎でプレーし、現在は侍ジャパン社会人代表を率いる川口監督が、東海勢が上位進出する理由について語った[写真=BBM]
2025年の社会人野球は東海勢の強さが際立った。都市対抗決勝は王子と三菱自動車岡崎による愛知県対決。ヤマハも準決勝に進出しておりベスト4に東海勢が3チーム入った。東海勢は日本選手権対象のJABA11大会でも6大会で優勝。その結果、日本選手権の東海地区予選は6チームが5枠を争うこととなった。これほどの好条件ながら、最後の1枠で通過したのが都市対抗準優勝・三菱自動車岡崎。どのチームも実力が高いレベルで拮抗している。社会人日本選手権は32チーム中10チームを東海勢が占め、7チームが初戦を突破。ベスト8にも4チームが残り、ヤマハが8年ぶり2度目の頂点に立った。東海勢はなぜこんなに強いのか。
三菱自動車岡崎OBで23年10月から侍ジャパン社会人代表で指揮する川口朋保監督(明大)はこう見る。
「トヨタ(自動車)とヤマハが東海勢を引っ張っていますし、もうそれに尽きるんじゃないかなというふうに思っています。それと東海地区の連盟の役員の方々の取り組み。予選でボールパーク化というふうにして、お客さんをなんとか呼び込もうという施策をいろいろしています。トヨタ、ヤマハに追いつき追い越せという各チームの頑張りと、東海地区連盟の頑張りが相まって強くなっているんではないかなって思っています」
トヨタ自動車&ヤマハ 2強に追いつけ追い越せ
追われる側のトヨタ自動車にとっても、楽な試合はない。藤原航平監督(中大)は言う。
「しのぎを削ってやっているなと僕らも思っています。どことやっても嫌なんで。予選とかは同じぐらい力があると思っており、そういう中で皆、成長していると思っています」
トヨタ自動車の主将、さらに優勝した9月のBFAアジア選手権で侍ジャパン社会人代表の主将を務めた
逢澤崚介(明大)はこう分析する。
「本当にいいピッチャーであったり、いいバッターが多いですし、岡崎という難しい球場で開催しているからこそ、長打というよりは低い打球、そういったところが大きい大会でも出ているのかなと思う」
三菱自動車岡崎のエース左腕・秋山翔(武蔵大)は投手目線で語る。
「ピッチャー陣がいいのはもちろんですけど、今年は結構、打撃陣がさらによくなっているイメージがあります。岡崎レッドダイヤモンドスタジアムは広いので、それで打線も鍛えられた感じがします」
予選で使用する岡崎レッドダイヤモンドスタジアムは、来年のアジア競技大会の会場にもなっており、中堅126メートルとプロの本拠地球場よりも広い。Honda鈴鹿・真鍋健太郎監督(駒大)は“球場効果”をこう語る。
「僕らの現役のころは『東海地区は足の速くて、ちょこちょこしている選手が多いですよね。だからスケールが小さいよね』と言われていたんですよ。でも今は、岡崎でホームラン打てる選手が増えてきています」
東海地区の監督に共通していたのは「激戦区」であることを前向きにとらえていることだった。東邦ガス・宇津野純一監督(明大)は「トヨタとヤマハ、そこに勝たないと(全国大会に)出られないので……。でも、それは本当にいい刺激になっています」。東海理化・山根直輝監督は「楽しいですね。こういう強いチームがいる中で勝つ喜びもありますし、そこに勝てば全国でも勝てると思うのでポジティブに考えています」。トップランナーの存在とハイレベルな切磋琢磨、予選の厳しさが、そのまま全国での好結果につながっている。(取材・文=小中翔太)