
JFE西日本・内田監督は2026年シーズン到来のスポニチ大会優勝へと導き、神宮の杜を舞った[写真=矢野寿明]
2026年の社会人野球のシーズンが開幕した。神宮球場で行われた第80回JABA東京スポニチ大会の決勝はJFE西日本が10対4でJR東日本を下して初優勝。今秋の社会人野球日本選手権への出場権(8大会連続19回目出場)を獲得した。
「今季の最初の大会で優勝できて、うれしいです」と喜びを語ったJFE西日本の内田聡監督(神奈川大)。チームの指揮を執って4年目を迎え、手応えを得ていたという。
「少しずつ結果は出ていたのですが『もう一つ上へ』という思いがある中で、どうしても守りに入ってしまいがちな時期だったんです。そこで、今季はチームスローガンに『挑戦なくして勝利なし〜大胆かつ細心に!〜』を掲げ、挑戦することを恐れるな。そして、細心の注意を払いながらさまざまなデータを駆使して準備をし、こうすると決めたなら大胆に行く。そうやって、より前のめりにプレーすることを再確認して全員で体現していこうと、かなり細かいところまで徹底してきました」意識を高めて練習を積んできた。
若手、中堅、ベテランが融合
成果は今大会でも十分に表れており、「挑戦」については「投手陣は内角を攻める。攻撃では初球から打ちに行ったり、果敢に走ったり。結果を考えるよりも、まずはチャレンジすることを実践してくれました」と指揮官は評価。「大胆かつ細心に」についてはまず準備を大切にした。「守備ではプレーが起きる前に準備の声を掛けること。内外野は連携の声を掛け合ったことで、強風の中でもきちんとフライに対処することができましたし、全体としてもミスはあまり出ませんでした」(内田監督)。主将・
新田旬希(駒大)は攻撃面について「今大会では走者を置いた状況で打席が回ってくることが多かったのですが、無死二塁の場面では三塁へランナーを進めるために右方向へ打つという心の準備ができていたのでヒットでチャンスを拡大することができました」と話す。
内田監督は「ミスをしないために『なぜ起きてしまったのか』という理由を流してしまうことなく突き詰めました。例えば、投手が相手の四番打者に対してカウントを悪くしてしまい、苦しまぎれにストレートを投げた。打ち取れたとしても、それはたまたまでしかなくてホームランを打たれていてもおかしくなかったのだから、有利なカウントをつくっていかなければいけないんです。『アウトだったからいい』ではない。同じミスをしないように反省し、次はどのような準備をするのか。そこまで考えてプレーするように求めてきました」と細部にまでこだわる。
「今季は若手、中堅、ベテランが互いを信頼して融合し、それぞれが結果を出していますし、チーム内で競争もできています」と内田監督。投手陣はエースの長野健大(天理大)が明治安田との予選リーグ初戦で7回を4安打1失点で完投し、7回
コールド勝利に貢献。NTT東日本との準決勝でも9回途中まで3失点と好投した。また、一昨年からサイドスローに転向した左腕・岩本賢志(大阪桐蔭高)が成長し、予選リーグ2戦目のパナソニック戦では6回途中まで無失点。内田監督は「制球に不安があったのですが、昨秋から良くなってきました。JR東日本との決勝は打順の一回りだけでもと考えていたのですが、左打者をきっちりと抑えてくれました」と6回までゼロ封。7回に連打を浴びて降板も、2試合に先発して2勝を挙げた。

一昨年からサイドスローに転向した入社6年目の左腕・岩本は先発で2勝。JR東日本との決勝も好投を見せた[写真=矢野寿明]
一つひとつの試合を大事に
打線は「昨年から終盤の粘り強さが出てきていたので、今季は序盤から得点していくことがチームとしての目標でした」と内田監督は話していたが、明治安田戦では初回に4点。JR東日本戦では2回までに9点。5試合中4試合で2ケタ安打を記録し、通算34得点と爆発した。NTT東日本との準決勝で逆転サヨナラ打を放ち、2本塁打8打点で最高殊勲選手賞を獲得した古田塁(東洋大)は「これまで使えていなかったハムスト
リングに刺激を入れ、下半身から上半身へつなげる動きを大切にしたことでスイングスピードが13キロ上がりました。それから胸を張り過ぎていてバットが外回りになり、インコースのボールが打ちにくかったのですが肋骨のあたりが前へ出過ぎないようにすることでバットが最短距離で出せています」と好調の要因を語っている。

MVPの古田[右]と首位打者賞の河内[左]は表彰式後に笑顔を見せた[写真=矢野寿明]
昨年は都市対抗と日本選手権のどちらも2回戦で敗退し「悔しい負けを経験しましたが、やってきたことは間違っていない」と内田監督。さらに「自分たちがやることは変わらないので、一つひとつの試合を大事にしていきたい」(新田主将)、「結果に対して根拠があったのか。根拠に基づいてプレーすることで調子の波をなくし、常に勝てるチームを目指したい」(古田選手)と選手も話しており、スローガンからブレることなくシーズンを駆け抜けていく。(取材・文=大平明)
◆第80回JABA東京スポニチ大会結果