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2026注目の新人

ENEOS・中野大虎 高卒新人が堂々の社会人デビュー、3年後見据えた選択

 

大阪桐蔭高ではエースながら主将の大役を任されるなど、人間性にも優れる。名門社会人で貴重な経験を積んでいく[写真=矢野寿明]


 名門・ENEOS野球部に合流して、わずか2カ月ちょっとでの社会人デビューだ。18歳の中野大虎が公式戦初登板を果たしたのは、3月9日の東京スポニチ大会。大田スタジアムで行なわれたYBSホールディングス戦のことだった。

 先発マウンドを託されたことに「ビックリした」と言うのだが、その言葉とは裏腹に初回からポテンシャルの高さを見せつけた。1回裏、先頭打者への初球はファウルとなるのだが、146キロを計時した。その後も140キロ台中盤のストレートと、カーブ、スライダー、フォークボールを操り、3イニングを被安打2の無失点に抑える上々のマウンドだった。

「中野は、落ち着いて投げてくれた。あたふたしなかった。大舞台に慣れているというか、さすがだなと思いましたね」

 デビュー戦をそう評価したのは、ENEOS・宮澤健太郎監督(明大)である。当の本人も、登板後は冷静に自身の現在地をこう語った。

「無失点は良かったと思いますが、内容にこだわっていきたい。真っすぐの強さと変化球の精度を上げていかなければいけないと思っています。高校時代から変化球の球種を減らして、真っすぐを多めに投げていきながら」

 それぞれの球種を「中途半端にはしたくない」とも語る中野は、明確なビジョンを持っている。

「先発ならカーブを入れるんですが、中継ぎなら、真っすぐ、スライダー、フォークボールで勝負したいと思っています。今はカットボールを封印しています。カットボールを投げていればストライクを取れるし、打者が引っ掛けてくれますが、あえて今は使わずに真っすぐ自体を伸ばしていきたいという思いがあるので。80%の力で、いかに質の高いボールを投げられるか。真っすぐのホップ成分も求めていきたい」

 ピッチングの幅を広げるために、楽な道は選ばない。社会人野球で自らの可能性を引き上げていく決意が、中野の言葉からは感じられる。

母校のセンバツVに刺激


 大阪桐蔭高時代は、2年春のセンバツ甲子園に出場して3試合の登板で、8強進出に貢献した。同年夏も聖地のマウンドに立ち、興南高との1回戦で完封勝利を手にした。主将を務めた3年時は甲子園出場を叶えることはできなかったが、U-18W杯では高校日本代表に選出されて3勝をマークするなど、世代を代表する右腕として名を上げた。プロ志望届を提出。だが、大阪桐蔭高のWエースとして活躍した同学年の森陽樹オリックスに指名される中で、中野に吉報は届かなかった。

 進路は、社会人野球。その歩みにこそ、自らの成長があると信じ、覚悟を決めた。

「社会人野球は、ある意味で仕事として、命を懸けてやっている。もう一つ上の世界に行くなら、社会人でしっかりとやって、力を蓄えたいと思いました」

 ENEOSのユニフォームに袖を通す今、「こっち(社会人)で良かった」と思えるほどに充実の日々を送る。母校・大阪桐蔭高のセンバツ優勝も刺激になっている。ドラフト解禁年となる2028年も見据えながら、中野は確かな足音とともに社会人野球をスタートさせた。(取材・文=佐々木亨)

PROFILE
なかの・だいと●2007年6月18日生まれ。大阪府出身。180cm78kg。右投右打。幸シーザーズで投手としてソフトボールを始める。幸小6年から大阪泉州ボーイズに所属して投手兼捕手として全国大会優勝。富秋中時代は浜寺ボーイズで投手兼外野手。鶴岡一人記念大会では関西選抜としてプレーした。大阪桐蔭高では1年秋からベンチ入り。2年春のセンバツでは3試合に救援して8強。同年夏の甲子園では興南高との1回戦で完封。2年秋から主将を務め、3年夏は府大会準優勝。U-18W杯では高校日本代表でプレーし、銀メダル。26年にENEOSに入社した。
アマチュア野球情報最前線

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