
JABA東京スポニチ大会は予選リーグで2連敗の後、JFE西日本との3戦目で、大会初勝利。8回から救援した濱崎[背番号16]が最後を締めている[写真=川口洋邦]
2021年に創部した茨城日産は24年の都市対抗2次予選北関東大会で日本製鉄鹿島を下して第2代表決定戦へ進出した。東京ドーム切符をかけたSUBARUとの一戦では、延長10回タイブレークの末に3対4でサヨナラ負け。本戦出場まであと一歩まで迫り、実力の高さを印象づけた。
会社登録の茨城日産だが、全体練習は週1日か2日のみ。それ以外は通常業務の後、各々がグラウンドや室内練習場に集まって19時ごろから個人練習に励んでいる。かつて名門・日産自動車でプレーした渡邉等監督(今治西高)は「成長するも、怠けるもすべて選手次第。環境は恵まれていませんが、そのなかで勝つのが大事。だから、選手にはこの環境をバネにしていこうと声を掛けています」と話す。創部6年目。「これまではチャンスをつくっても、そのチャンスに自分たちが追い込まれていた。だから、細かいボールの見極めは要求しないので『三振を怖がらずに打ちにいけ』と指示を出しています」と渡邉監督は積極性を求める。また、「ミスをするとショボンとしてしまう。でも、野球はミスがあるものなので、ミスをしても取り返そうという気概を持ってほしい」と続ける。
主将・佐藤天寅(中大)も「今季はミスがあっても常に前を向いていこうと伝えてきました。多くのことを言ってもチーム全員にすべてを浸透させるのは難しい。だから、一つのことをずっと言い続けて選手に刷り込み、同じ方向を向けるようにしています」とチームをまとめてきた。
ロースコアを勝ち切る
2026年のチームスローガンは「尽力」である。「これまでは一試合一試合、一球一球への思いが足りていなかった。だから、『先を見ずに、目の前の試合に力を出し尽くして、シーズンをやりきろう』という考えから定めました」(佐藤主将)。
3月にはJABA東京スポニチ大会に初出場。例年よりも1カ月早い公式戦となったため「まだ寒いのでケガがないように、会社にお願いして1月15日から全体練習を始めて準備してきました。そのおかげで、仕上がりも早くできました」と、チームの始動を早めた。予選リーグの初戦と2戦目は序盤で逆転を許して連敗。JFE西日本との3戦目は3点を先行すると、中盤に追い上げられたものの6回表に岩舘央歩(千葉経大)の安打を足掛かりに4得点。「岩舘は前の回にエラーをして失点のきっかけをつくってしまったのですが、ヒットを打ってベンチへ戻ってきたときに『取り返しました』と言ってきました」(渡邉監督)と、やるべきことをきっちりと実践してみせた。
また、四番の小甲大貴(東海大)が3安打2打点と活躍。最後は濱崎鉄平(仙台大)が2イニングを締め、同大会で優勝したJFE西日本に9対6で初勝利。「小甲はいつも一生懸命でパンチ力があり、広角に打てる。濱崎は元々、能力がある投手。昨年の秋ごろから覚悟ができて気持ちが強くなりました」(渡邉監督)。強豪チームから白星を挙げて自信をつけ、今後も「ミスの後にカバーをして、傷口を小さくする意識を追求していきたい」と指揮官。佐藤主将は「無駄な失点をなくし、ロースコアの試合を勝ち取っていきたい」と抱負を語った。都市対抗初出場を目指し、茨城日産は走り続ける。(取材・文=大平明)