
ENEOSは4対2とリードして9回裏を迎えたが、逃げ切ることができずサヨナラ負け。捕手の有馬はひざまずいて悔しさをあらわに[写真=佐々木亨]
都市対抗野球大会の予選には、悲喜交々のドラマがある。今年の第97回都市対抗野球大会の代表権をかけた熱い戦いが各地区で展開する中で、西関東地区では第1代表で東芝、第2代表で三菱重工Eastが名乗りを上げた。その裏で、都市対抗最多となる12回の優勝を誇っているENEOSが本大会出場を逃し、予選の難しさと過酷さを改めて痛感させられた。
負ければ、予選敗退が決する――。その西関東二次予選の「大一番」とも言える第2代表決定トーナメント3回戦(6月11日)に臨んだENEOSは、三菱重工Eastを相手に先取点を挙げる。4回表、川口凌(法大)の右前安打を起点に一死二、三塁と攻め立て、五番に座る
有馬諒(関大)の右翼への犠飛で1点。さらに
松浦佑星(日体大)の中前打で加点して2点のリードを奪う。互いの攻防でゲームが動く中で、1点差の7回表には二死三塁から三番・
山田陸人(明大)が二塁内野安打を放って再び点差を2点に広げた。
8回裏からマウンドに上がって三者凡退に抑えたのは、
関根智輝(慶大)だ。ボールの走りは悪くない。代わった直後のピッチングを考えれば、9回裏を迎えた時点でENEOSの勝利は近づいていた。
悔やんだ「最後の一球」
だが、そこからが「予選の厳しさ」だ。関根がイニングの先頭となった代打・菅力也(駒大)に左前打。続く主将の
中前祐也(中大)に左翼線二塁打を浴びて無死二、三塁とピンチを迎える。関根の暴投で1点差に詰め寄られたのは、その直後だ。なおも無死三塁で、5回裏にソロアーチを放っていた13年目の対馬和樹(九州共立大)にフェンス直撃となる左中間への二塁打を浴びて同点とされる。勝利が近づいていたはずの最終回が一転、サヨナラ負けのピンチとなった。その絶体絶命の場面で、ENEOSは左腕エースの
加藤三範(筑波大)をマウンドに送る。申告敬遠で一、二塁とした後、併殺で二死としたところまでは思惑どおりだったか。だが、走者を三塁に残す中で、三菱重工Eastの代打・八戸勝登(西南学院大)に右前へ運ばれて勝敗は決した。
加藤が両膝に手を置いて悔しさをにじませる。三塁のポジションでは、川口が片膝をついてぼうぜんとなる。そして、両手を地面につけて「最後の一球」を悔やんだのは、捕手の有馬だ。勝者と敗者が決した「最後の1イニング」には、互いの勝利への執念が詰まっていた。
試合後、本大会連続出場が6回で途切れたENEOSの宮澤健太郎監督(明大)は言った。
「(四番手で登板して3失点した)関根は責められない。全員で必死になって戦い、一生懸命にやった結果なので……。一つ勝つ難しさを感じたゲームでした」
今シーズンから主将となった山田は、敗戦の責任を背負うかのように唇をかみ締めながら試合を振り返る。
「今年はJABA大会で2つとも準優勝(京都、九州)で、この予選はしっかりと勝ち切ろうと言っていましたが……力不足。ただそれだけです」
無念さが詰まった小さな声を残して、都市対抗予選を終えた。(取材・文=佐々木亨)