
信越クラブはJR東日本東北との1回戦で敗退。好機をつくりながらも本塁が遠かった[写真=小河原友信]
時折、数分前まで行われていた試合に視線を送りながら、信越クラブ(長野市)の酒井仁汰監督(日本文理大)は語った。
「ロースコアの展開が、勝つために大事な条件でした。守りのほうは、やりたいことができていた。(攻撃では)最初の選手が勇気を持ってヒットを打ってくれたところで、後押しできる采配があれば良かったんですが……」
2年連続26回目の出場となった信越クラブは8月29日、昨年まで5年連続で初戦を突破しているJR東日本東北(仙台市)と対戦した。1回表、先頭の藤沢潤哉(桜美林大)が左前安打を放つ。犠打で得点圏に走者を進めるが、後続が倒れて無得点に終わった。2回表も、積極的な打撃で二死から主将の伊藤駿(日大国際関係学部)、バイタルネットからの補強選手である
村田龍哉(上武大)の連打でチャンスをつくるも無得点。3回表も、先頭の藤沢が中前安打で出塁したが、得点につなげることができなかった。酒井監督の言葉だ。
「最初のほうの打球の出方を見たら、選手たちも『よし行ける』と思ったんですよね。でも、そこで点を取れなかった。イメージ的には『行ける』という中で、相手にプレッシャーをかけるという点では、中盤にちょっと緩んだかなと思います」
4回表からの4イニングは三者凡退が続いた。8回表は二死から四球とヒットで走者一、二塁としたが無得点。マルハン北日本カンパニーからの補強選手であり、元
オリックスで今年37歳を迎えるJR東日本東北の先発・
吉田一将(日大)の前に得点できなかった。9回表も三者凡退。最後まで1点が遠かった(0対2で敗退)。
勝利への渇望を結果に
信越クラブは、バイタルネットからの補強選手である左腕の松田賢大(日大鶴ヶ丘高)を先発マウンドに送り、初回の2失点だけに抑えて粘り強く戦い抜いた。「北信越で一番いいピッチャーと言えば、松田投手なので」。酒井監督は松田の先発起用についてそう語り、「オール北信越」での戦いだったことを強調する。
北信越勢は、信越硬式野球クラブ(現・信越クラブ)が1回戦を突破した2015年以来、東京ドームでの勝利から遠ざかっていた。信越クラブとしても11年ぶりの勝利を目指した大会だったが、今夏もその夢は絶たれた。24年から指揮を執る酒井監督は、「何とか勝ちたかった……」と言いながら、言葉を加える。
「周りのリアクションはダイレクトに出てくるものです。『信越クラブはよくやった』、あるいは『やっぱりダメだったか』とか。それを受けて強くなればいいんでしょうが、戦いの中身はもっと激しく……ですね」
勝利への渇望を結果につなげなければいけない。その強い思いが、指揮官の言葉から伝わる。7回途中から登板して無失点に抑えたのはルーキー・小鷹柾也(松本大)だ。酒井監督は「小鷹は経験した以上、周りに影響力を振りまいていかなければいけないと思います」と言い、さらにチームとしての強化を求める。信越クラブ、そして北信越地区としての悲願達成に向けた戦いは、来年もまた続く。(取材・文=佐々木亨)