
2年ぶりの優勝を目指したが、惜しくも準決勝敗退。常勝チームの足掛かりを築く大会となった[写真=矢野寿明]
2年ぶりの決勝進出、2度目の黒獅子旗は、手が届くところまで来ていた。チームの成熟度、補強選手との融合、そして何より第97回都市対抗野球大会での盤石の勝ち上がりに、「優勝」の二文字が見えても不思議ではなかった。
1回戦は日本製鉄瀬戸内(姫路市)を打力で圧倒した。1回裏にENEOSからの補強選手である
飯山志夢(立正大)の適時二塁打で先制した三菱重工East(横浜市)は、4回裏には同じくENEOSからの補強選手である
松浦佑星(日体大)に2ラン、そして、
武田健吾(自由ケ丘高)に3ランが飛び出すなど、打者14人の猛攻で9点を奪う。さらに5回裏には武田の2打席連続本塁打が飛び出す。投げては、2年前の都市対抗で橋戸賞を手にした本間大暉(専大)が5回1失点。
森圭名(青学大)と
安達壮汰(法大)が無失点に抑えて日本製鉄瀬戸内を7回
コールドで下した。
Honda熊本(大津町)との2回戦は、長らくチームの四番を張る小柳卓也(日体大)のソロ本塁打で先制。3回裏には打者一巡で3点を追加して、6回裏には10年目を迎えた矢野幸耶(北陸大)の適時二塁打で1点を加えた。投げては先発の安達が5回無失点。6回表からの3イニングを無失点に抑えたのはENEOSからの補強選手である
加藤三範(筑波大)だ。そして、最後は長島彰(中京学院大)がマウンドに上がり、3投手による零封リレーを完結させた。この試合では守備力も光った。無死一塁から左中間へのヒットを浴びた8回表、中堅手の武田、遊撃手の矢野、そして三塁手の
中前祐也(中大)とつなぎ、一塁走者の進塁を食い止める無駄のない中継プレーは、相手に隙を与えないビッグプレーだった。
ベテラン右腕を攻略できず
準々決勝で大阪ガス(大阪市)を下したチームは、準決勝でNTT西日本と対戦する。昨年の都市対抗の開幕戦で敗れた相手がNTT西日本だっただけに、負けられない。初回に両チームが2点ずつを挙げた試合は、序盤まで互角の展開を見せる。だが、4回表、大一番で先発を託された安達が二死から2ランを浴びて、三菱重工Eastは勝ち越しを許す。打線は4回裏から5イニング連続で三者凡退に抑えられ、反撃のチャンスすら見えない。結局、NTT西日本の先発で、15年目の右腕である
濱崎浩大(東日本国際大)に完投を許して敗戦を迎えた。
「試合中盤に相手にプレッシャーをかけられなかった」
三菱重工Eastを率いる佐伯功監督(東北福祉大)は、チェンジアップを駆使した濱崎を攻略できなかったことを悔やむ。「紙一重の勝負を勝ち切る」強さを求めながら、準決勝敗退で終わった大会を振り返った。それでも、今夏の都市対抗にあったチームとしての強さは本物だったのではないか。
「自分たちが大事にしているものをさらに強くして、積み上げていくしかない」
悔しさの中にも確かな手応えを感じている佐伯監督のその言葉に、三菱重工Eastの常勝チームへの道が見えるようだった。(取材・文=佐々木亨)