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第97回都市対抗野球大会

単独チームで臨んだ王子が見せた前回覇者の矜持 史上6チーム目の連覇ならず

 

王子は西濃運輸との準々決勝で敗退。湯浅監督[背番号93]は悔しさをにじませた[写真=矢野寿明]


 都市対抗野球大会には推薦出場がある。つまりは、前年の覇者が予選を免除される中で出場するのだが、第97回都市対抗野球大会では、その権利を持つ王子(春日井市)が補強選手のいない、いわゆる単独チームで大会に挑んだ。大会連覇は、2012年(83回大会)と13年(84回大会)のJX-ENEOS(現ENEOS)を含めて5チーム(6回)しか成し得ていない偉業。今季は「超挑戦〜俺たちならできる勝ち続けるチームへ〜」をスローガンに掲げる王子の戦いは、JR北海道クラブ(札幌市)との一戦から始まった。

 試合が動いたのは、6回表だ。吉岡郁哉(法大)、宝島史貴(愛知学院大)の連打でチャンスを築いた王子は、1年目の佐藤孝昭(中部学院大)が2点適時打を放って先制する。7回無失点と先発の役割を担ったのは左腕・樋口新(愛知工大)。代わった1年目の水崎康平(九産大)が8回裏に1点を失うが、最終回を三者凡退に抑えて王子が勝利した。チームを率いて5年目の湯浅貴博監督(享栄高)は、開幕戦での緊張感に触れながら、試合を振り返った。

「初戦の硬さはあったと思います。試行錯誤をしながら準備はしてきたつもりですけど、この大声援ですし、やはり緊張感はありました」

 その中で、一番を担い攻守で安定感を見せた岡部飛雄馬(敦賀気比高)、チーム唯一の打点を挙げた佐藤、そして最後を締めた水崎といったルーキーたちの躍動には「ノビノビとやっているように見えた」と目を細める。

 昨年の都市対抗決勝の再戦となった三菱自動車岡崎との2回戦は、3点ビハインドの6回裏に柴崎聖人(大経大)、吉岡、平野陽大(東北福祉大)の3本の適時打で同点。そして、8回裏に柴崎がバックスクリーン右横に飛び込むソロアーチを放って勝ち越し。最後は、6回表から登板していた樋口が締めて、昨年同様に王子が勝利を収めた。湯浅監督は「あきらめずに昨年同様に戦えた」と選手たちの終盤の粘りを称えた。

黒獅子エンブレムの輝き


 順調な勝ち上がりに大会連覇への期待が膨らむ。だが、迎えた準々決勝。5得点の王子に対して、西濃運輸(大垣市)の強力打線が襲いかかる。西濃運輸は、ともにヤマハからの補強選手である大本拓海(立命大)と前野幹博(PL学園高)が活躍。大本が四球を選び、前野の2ランでリードする場面が2度もあった。王子打線も終盤まで応戦したが、同地区のライバルに打ち勝つことができなかった。補強選手との融合で力強く戦った西濃運輸との試合を振り返り、湯浅監督は言う。

「それが都市対抗です。補強選手を含めてバランスよくチームをつくり上げてきた西濃さんが上手(うわて)だったということ。われわれは単独チームで注目される中、選手たちはよくやったと思います」

 準々決勝まで勝ち上がったが、あくまでも黒獅子旗を狙う大会だった。

「(優勝までの)5連勝を目指していましたし、『悔しい』の一言です」

 今夏の王子は、都市対抗の覇者だけに許される黒獅子エンブレムがつけられたユニフォームで挑んだ。湯浅監督が残した最後の言葉には、その意地が透けて見えた。(取材・文=佐々木亨)
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