
優勝候補の大本命だったが、1回戦で三菱自動車岡崎に惜敗した[写真=高野徹]
強いHondaが帰ってきた――。2026年シーズンの戦いぶりを見れば、誰もがそう思わずにはいられなかった。就任3年目を迎えた多幡雄一監督(立大)の下、春先からJABAの各大会で優勝。静岡、京都、そして九州大会を制した。都市対抗の東京都二次予選でも安定した戦いで3連勝。強豪チームがひしめく東京地区の第1代表を射止めた。
都市対抗本大会でのHondaは、優勝候補の大本命だった。直近で黒獅子旗を手にしたのは20年のことである。推薦出場の21年、そして22年、23年、25年の東京ドームでは初戦敗退。今年の都市対抗では「1回戦の壁」を打破することが大きな命題ではあったが、6年ぶりの黒獅子旗を目指すHondaの大会前にあった評価は揺るがなかった。
1回戦は、昨年の準優勝チームである三菱自動車岡崎(岡崎市)が相手だった。1回表、Hondaの先発マウンドに上がった6年目右腕の
有村大誠(立命大)が出鼻をくじかれる。先頭打者への死球を足掛かりに、JR東海からの補強選手である水谷祥平(東洋大)に2ランを浴びた。2回表には、先頭打者に四球を与え、続く九番打者の犠打に対して有村が一塁へ悪送球。無死一、三塁とされ、犠飛で1点を追加された。なおも二死二塁で、再び水谷に打点を挙げられてこの回2失点目。今シーズンは先発の柱として成長した有村が、序盤2イニングで計4点を失った。
「エラーが絡んで後手に回った」
多幡監督は、予期していなかった立ち上がりを悔やむ。
あらためて知った野球の怖さ
追いかける展開を強いられたHondaが、2年目の坂口渉(城西大)に適時二塁打が飛び出して1点を返したのは2回裏だ。多幡監督が「ウチらしく、しっかりとバットを振って、本来のスイングはできていた」と振り返る中盤以降は、三菱自動車岡崎を追い詰めた。6回裏は、四番・
藤野隼大(立大)とルーキー・山下来球(国士舘大)のヒットで一死一、二塁。その好機で、明治安田からの補強選手である
高瀬雄大(明大)が中前適時打。
さらに11年目選手である
辻野雄大(白鴎大)の内野ゴロの間に1点をもぎ取って1点差に詰め寄る。8回裏は、山下来と高瀬の連打。辻野の犠打で一死二、三塁と攻め立てた。絶好の好機で代打を告げられたのは、コーチ兼任の井上彰吾(日大)だった。20年の都市対抗で橋戸賞を手にしたベテランが打席に向かうと、一塁側スタンドに陣取るHondaの大応援団の熱量が高まった。だが、ショートフライ。後続も倒れて無得点。9回裏は三者凡退で終わり3対4、またしても「1回戦の壁」に跳ね返された。
「(優勝候補と)周りの方にそう言っていただくことはうれしいことでしたが、少し緊張があって序盤の硬さにつながった。そこを私が取り除いてあげられなかった」
多幡監督は「野球の怖さをあらためて知った」とも語る。それでも、最後は目指すべきチーム像を思い浮かべて、凛とした表情を浮かべた。
「いろんな課題が見えた。それを力に替え、財産にして、常勝チームに向けてチームづくりをもう一度やっていこうと思います」(取材・文=佐々木亨)