
スーパーラウンドで韓国に快勝した日本だったが、中1日で再び対戦した決勝は惜敗。32年ぶりの金メダルはならずも、オールプロに社会人は果敢に挑んだ[写真=高野徹]
オールプロへ果敢に挑戦
第20回アジア競技大会(岡崎中央総合公園野球場、豊橋市民球場)に出場した日本は、侍ジャパン社会人代表で編成。1994年の
広島大会以来、32年ぶりの日本開催で、32年ぶりの金メダルを目指したが、韓国との決勝(豊橋)に1対3で敗退。韓国が大会5連覇を果たした。
日本はオープニングラウンドで3連勝。スーパーラウンドも韓国、台湾に連勝し、1位で決勝進出を決めた。日本のオールアマチュアに対して、韓国は今年3月に開催されたWBC出場組のほか、KBOの主力選手が名を連ねたオールプロ。スーパーラウンド初戦では5対0で快勝し、社会人野球の底力を見せつけたが、頂上決戦では王座を阻まれた。
日本はスーパーラウンドで韓国打線を7回4安打無失点に抑えた左腕・
樋口新が中1日で決勝に先発した。前回登板は無四球だったが、さすがに疲労の色は濃く、この決勝ではやや制球を乱した。2回表に先制点を許し、3回1失点(3四球)で降板。0対1のまま試合はこう着状態に。

韓国とのスーパーラウンドを7回無失点で勝利投手となった樋口が中1日、韓国との決勝で先発。気迫の投球を見せた[写真=高野徹]
4回から
嘉陽宗一郎、6回から
渕上佳輝が各2イニングを無失点に抑え、反撃態勢を整えた。日本は7回裏一死一、二塁から七番・三塁の
佐藤勇基の左前適時打で1対1の同点に追いつく。

1点を追う日本は7回裏に佐藤の適時打で同点に追いついた。今大会を通じて、全員でつなぐ姿勢を貫いた[写真=高野徹]
8回表、川口朋保監督は最も信頼を寄せる
近藤壱来を四番手に投入したが、決勝点を奪われた。近藤は前日、台湾とのスーパーラウンドでは先発して6回1失点と、連投だった。2点を追う日本は9回裏二死走者なしから代打・
福井章吾が四球を選び、
辻本勇樹が中前打でつなぐ。二死一、二塁と見せ場を作ったものの代打・
柴崎聖人が見逃し三振で、無念の幕切れを迎えた。
2023年10月に就任した川口監督にとって、今大会は集大成の場だった。韓国との決勝後に総括している。
「この6試合を通じて、日本代表の社会人チームとしては、最高のパフォーマンスを見せてくれました。社会人野球は日本独自の文化だと思います。社会人野球の価値を高められるよう、今後も取り組んでいきます」
社会人野球の魅力を発信
金メダルを目指した今大会、侍ジャパン社会人代表には合言葉があった。川口監督は常々こう語っていた。
「社会人野球を認知してもらえる、いいきっかけだと思います。おそらく、一般の人からすると『なぜ、プロの選手が出ないの?』と思っているところで、社会人の選手でもこれだけできるんだといったところを、日本の野球ファンの皆さんにも目に焼きつけてもらい、社会人野球の価値、魅力を示す。何が社会人野球の魅力かと言うと、大人の全力プレーです。プロとも違う、大学野球とも違う、高校野球とも違う、本気の大人の真剣勝負を、このアジア競技大会でも発揮できたらと思います」
川口監督から信頼を受けた主将・
逢澤崚介もプライドを口にしていた。
「一球にかける思い、最後まで何があってもあきらめない、気を抜かないというところが、社会人野球の素晴らしさです。勝って証明することが、われわれの使命だと思います」
かつて世界最高峰の舞台であったオリンピックは、社会人選手を中心に編成された。つまり、アマチュアの祭典だった。2000年のシドニー五輪でプロ・アマ合同チームが編成され、04年のアテネ五輪からはオールプロ。06年からはWBCが開催され、社会人選手の最大のステージは、4年に一度のアジア競技大会だった。
前回23年の中国・杭州大会(銅メダル)に続く日本代表となった
向山基生は今大会期間中、こう語っていた。
「社会人野球をもっと認識していただきたいですし、都市対抗という興行を、もっと大きいものにしていきたいんです。社会人野球の良さを精いっぱい、伝えられればと思います」
全力疾走、バックアップ、カバーリング。記録には表れない、細部までを突き詰める。社会人野球は原則、一発勝負のトーナメント。川口監督が言う「1球への執念」を、国際舞台で貫いた。オールプロへ果敢に挑んだ韓国との2試合を通じて「大人の本気」は、多くの人に届いたはず。堂々の銀メダル、胸を張っていい。
■侍ジャパン社会人代表 
※◎は主将。年齢は2026年の満年齢
■第20回アジア競技大会結果 【オープニングラウンド】9月21〜23日 【スーパーラウンド】9月25、26日 【3位決定戦】9月27日(岡崎中央総合公園野球場) 【決勝】9月27日(豊橋市民球場) 
[日]樋口、嘉陽、渕上、近藤-辻本
▽二塁打 水谷祥平