
就任3年目・峯岡監督から全幅の信頼を受ける。その根底には制球力の安定がある[写真=矢野寿明]
田村剛平と同期入社の大阪ガスの左腕・遠藤翔海も有望株だ。昨秋は関西学生リーグで最優秀投手を受賞するなど実績は十分で「社会人のバッターは一球で仕留める能力が高く、ボールが少し甘くなると打たれてしまうので気を使って投げています」と話すが、社会人1年目から活躍。持ち味は繊細なコントロールと、制球力が高い部分にある。
「幼いころは際どいコースに投げて見逃し三振を取ることに憧れていたので、狙ったところに投げる練習をずっとやってきました。そのおかげで昔からコントロールは良くて、ブルペンでは同じコースを続けて投げたり、キャッチャーにサインを出してもらったり。どちらもやるのですが、スライダーもツーシームも良い感覚を持っています」
大阪ガス入社に向けた冬場はトレーニングに励んだ。
「最速は昨秋に出した145キロなんですが、もっと球速を上げたくてウエート・トレーニングやジャンプ系のトレーニングをしてきました。これまでは速いボールを投げようとすると力んでしまうところがあったのですがそこを反省して修正したことで、この夏くらいからは力を入れなくてもこれまでと同じくらいの強さのボールが投げられるようになってきました」。投球フォームは最近では珍しいワインドアップである。
「小学校3年生からピッチャーをやっているのですが、当時からワインドアップです。実は大学2年のときにセットポジションを試してみたのですが、ワインドアップのほうがリズムが生まれるのですぐに戻しました」
リリースだけに集中
入社1年目の今シーズンは5月のJABA東北大会、日本製鉄室蘭シャークス戦で先発すると「真っすぐが強くて良かったので押していけました」と7回を4安打無失点。6月の都市対抗・近畿地区第1代表決定戦では日本新薬に対して「この試合はコントロールが良かった」と先発で6回を投げて得点を許さず、チームの本大会出場に貢献した。
都市対抗の本大会は三菱重工East(横浜市)との準々決勝で三番手として登板。7回途中から1回1/3を投げて、1安打無失点に抑えた。「都市対抗の予選が終わってから状態が良くなかったのですが、小畑コーチと力を抜いてリリースだけに集中して投げるように練習してきたことで調子が戻って、自信を持って投げることができました」
同期の田村が2回戦で勝利投手となったが「剛平は自分よりも良いピッチャー。好投したらうれしいですし、自分も頑張ろうと思います」と刺激を受けながら、切磋琢磨している。大阪ガス・峯岡格監督(早大)は「遠藤はストライクゾーンにどんどん投げ込めるので、投手としての気持ちの強さを感じます。もっとレベルアップできると思うのでチームを背負っていく存在になってくれると期待しています」と、成長を楽しみにしている。遠藤は今後に向けてこう語る。「都市対抗では良い投球ができたので、次は先発を任せてもらえるような立場になり、試合をつくりたい。大舞台で投げるのは楽しくて燃えるタイプ。プロも意識していきたい」。大学時代はプロ志望届を提出せず、社会人でのレベルアップを誓っていた。さらに上を目指していくつもりだ。(取材・文=大平明)
PROFILE えんどう・かける●2003年6月18日生まれ。兵庫県出身。170cm 77kg。左投左打。枚田小2年時から和田山ファイターズで野球を始める。和田山中では軟式野球部でプレー。京都共栄高では1年夏からベンチ入りし、同秋からエース。3年夏は府16強。立命大では2年春にリーグ戦初登板。4年秋はリーグ1位の防御率1.11で最優秀投手を受賞し、明治神宮大会で準優勝。大阪ガスでは1年目から都市対抗大会に出場。最速145キロ。変化球はスライダー、ツーシーム、チェンジアップ。