プロの世界を目指し再び日本へ。目標が現実となった今、縁のある埼玉で活躍を誓う。 リポート=高田博史 西武に徳島の選手が8人も!
西武球団本部・鈴木敬洋育成アマチュア担当の表情は晴れやかだった。
「いま、どこもいないと思います。同じチームから8人が在籍するなんて」
徳島は11年連続でNPBに選手を輩出し、先のドラフトでは6人が指名を受けた。これで西武には、徳島出身の選手が8人在籍することになる。
11月14日、西武球団本部から
渡辺久信GM、
潮崎哲也編成ディレクターらが徳島の球団事務所を訪れた。
宮澤太成投手(ドラフト5位指名)、シンクレア
ジョセフ孝ノ助投手(育成1位指名)、
谷口朝陽内野手(育成2位指名)の3選手にあいさつを行っている。非常に豪華な顔合わせとなった。NPBが考える独立リーグの価値観が、確実に変わってきた感がある。「立ち位置が、ここ何年かで変わってきましたよね」と、潮崎氏は言う。
「昔は試しで獲ってみようかな? という立ち位置だったのが、いまは戦力補強として考えていますね。一軍で戦えるだけの技術力というのは、独立リーグで養っていると思っているので。実際、来てすぐ戦力になれる選手ばかりですので。楽しみですね」
選手3人は同日午後4時から入団交渉に臨み、内諾している。交渉終了後の会見で、シンクレアが語った。
「精いっぱい頑張れば、いつまでも野球を続けられるんだなって思いました」
「可能性を考えれば……」
大学卒業を前に、シンクレアは大きな決断を迫られていた。大学院に進めば、もう1年大学でプレーすることはできる。だが、年に数回訪れていたMLBのスカウトから連絡はない。ここから先のステージに上がるには、環境を変えなければ無理だと感じていた。
すでに昨年から、日本の独立リーグについて自分なりに調べている。なかでも徳島の躍進ぶりに興味が湧いた。
「上に行く可能性を考えれば、大学に残ってプレーするよりこっちだな……」
6月に22歳の誕生日を迎える。いま日本に行けば、向こうの大学4年生たちと勝負できる。徳島の関係者と入団に向けた話し合いを進めるなか、「今年半年と、来年やってみよう!」ということで話がまとまる。その決意に迷いはなかった。
5月19日に入団。公式戦には11試合しか登板していないが、スカウトが注目し始めるのに時間はかからなかった。入団内諾後の会見で鈴木氏が語る。
「特徴のあるフォームと、左打者が嫌がる食い込んでくるツーシーム。そして、コントロールいいスライダー。近い将来、戦力になってくるピッチャーだなと思っています」
埼玉とは深い縁がある。2009年、母の実家がある埼玉の少年野球チーム、吉川ストームで野球を始めた。当時、
菊池雄星(ブルージェイズ)のドラフト指名にワクワクしたことを覚えている。
「埼玉西武ライオンズに指名してもらったのも何かの縁だと思う。埼玉の代表として頑張っていきたいと思います」
小学校時代のコーチ、同級生からも連絡があった。今年の年末年始は6年ぶりに、祖父母と母が待つ埼玉で過ごす予定だ。
PROFILE しんくれあ・じょせふ・こうのすけ●2001年6月12日生まれ。193cm93kg。左投左打。埼玉県出身。カナダ人の父と日本人の母との間に生まれ、小学2年生のころ、1年半を埼玉県吉川市で過ごす。アメリカ、メアリー大を卒業後の5月、徳島に入団。主に中継ぎとして11試合に登板した。1勝0敗1ホールド。防御率0.67(27投球回)21奪三振。西武より育成1位指名を受けた。