野球から離れようとしていた右腕。ドラフトで輝く徳島に魅せられ、自身も四国の地で指名獲得を目指す。 リポート=高田博史 
自慢の直球で奪三振を量産する徳島・中込[写真=佐藤友美]
紙に書いた目標
1月に行われた新入団選手発表記者会見で、徳島・
中込陽翔(山梨学院大)が色紙にしたためた目標は『ドラフト上位指名』である。
「あきらめずに1年必死でプレーして、ドラフト上位指名されるような選手になれるように、頑張ろうと思います」
ときおり、腕が上下する変則スリークオーター。テークバックの小さなショートアームから、MAX148キロのストレートを投げ込む。首位を独走中の徳島で、セットアッパーとして必要不可欠な存在になりつつある。
5月に入ってから、立て続けに2勝を挙げた。3勝はリーグトップタイの位置にいる。驚くべきは奪三振能力の高さと与四球の少なさだ。奪三振率14.02、与四球率0.52と、規定投球回数に達した16人の中で、いずれもトップの成績を誇る(5月15日終了時)。
周りを見れば、決していい気になってなどいられない。自分はまだまだだなあと感じることがよくある。
「もう毎日、野球のことだけ考えて。少しずついろんな形が、試合に臨む形とかも良くなってきたかなと思います」
徳島に来て、本当にNPBに行くしかない、と思うようになった。
「どんなチームなのかな?」
プロ野球選手になれないのなら、もう野球はやめよう。トレーニングが好きなことを生かして、地元のジムで働きたい。そんなふうに考えていた。
だが昨秋、第19回関東地区大学野球選手権大会(2023年11月6〜9日、横浜市)で、創価大に完投勝利するなど3連投と大車輪の活躍を見せる。
「なんか、これで野球やめちゃったらもったいないなって思って」
それより2週間前、チームメートで仲の良い
宮崎一樹が、
日本ハムから3位指名を受けていた。歓喜の中で見ていたドラフトで、徳島の選手が次々と名前を呼ばれていることが気になった。
「それでどんなチームなのかな? と思って調べて。めっちゃトレーニングするし、みんな球が速いし。すごいなと思って(入団テストを)受けたいとコーチに相談しました」
ダメならプロ野球選手はあきらめる。しかし、最後のチャンスをつかみ取った。
毎日のトレーニング、30分間のストレッチを続けて、今年で5年目になる。おかげでまったくケガをしなくなった。食生活もブロッコリー、鳥胸肉、卵など、たんぱく質中心の食事を続けている。背番号の『29』は「筋肉の29(肉)です」と言って笑う。
球威をもっと上げたい。目標はMAX155キロだ。相手を圧倒して三振を奪いたい。ドラフト上位指名をかなえるため、自分を鍛え続ける。
「でも、やっぱ勝つことって大事だと思うんで。勝ちにつながるピッチングができるようにやっていきたいです」
マウンドでは1球1球、悔いのないよう腕を振る。
PROFILE なかごみ・はると●2002年1月23日生まれ。176cm85kg。右投右打。B型。山梨県出身。山梨学院高3年時、センバツのマウンドを経験。山梨学院大を経て徳島に入団。MAX148キロ。13試合に登板し3勝0敗(1位タイ)1セーブ1ホールド。防御率1.04(3位)27奪三振(2位)。3.50以上が優秀とされる制球力の指標、K/BB(奪三振÷与四球)は、驚異的な27.00(5月15日終了時)。