実戦で今季を戦う手応えを得た。チームと選手個々が飛躍するため、指揮官の目は、高みを見つめ続ける。 リポート=高田博史 
2月8日、試合後に投手陣とミーティングを行う徳島・岡本哲司監督
早くも実戦を開始
今シーズン、徳島のスローガンは『Strike the heart〜唯一無二の存在へ〜』である。「心を射抜け」「ハートを撃ち抜け」、そんな意味がある。見ている人を、ファンの心を打ち抜くようなプレー、言動、立ち居振る舞いをしよう。それはNPBのスカウトに向けても同じだ。
1月31日、徳島市内で実質的なキャンプである合同自主トレを開始した。2月8日には早くも、アークバリアと交流戦(むつみ)を行っている。
試合開始前の気温が3.8度、強い風の吹く中で投手陣は躍動してみせた。先発の
杉本幸基(日大)が2回を無失点に抑え、4奪三振。以降、計6人の継投で奪った三振の数は、なんと18個である。二番・
笹浪竜(東北福祉大)の2点適時三塁打などで4対1と、徳島が勝利している。
試合後、岡本哲司監督(元大洋ほか)が高く評価したのは、ともに2年目となる19歳の投手、
篠崎国忠(修徳高)と
高橋快秀(多度津高)だった。
4回から登板した高橋は2イニングを投げ1失点、2奪三振。最速145キロを計測している。篠崎は7回から登板し、2回を無失点。最速150キロのストレートで4者連続を含む5個の三振を奪った。
「篠崎の内容が非常に良かった。スピードの計測も良かった。高橋に関しては、やるべきことが明確になったのかなと。内容は非常に良かったですね。高橋と篠崎にとって、いいゲームだったですね。(使える)確認ができた」
見えない課題と戦う
昨年のドラフトでは13人が候補の席に座り、その中から4人が指名を勝ち取った。だが、岡本監督の満足度は「80点」である。
「もうちょっと高められる選手も中にいたので、うん。やっぱりドラフトにかかるっていうのは大変で。課題って、なかなか埋めるの難しいですよ。で、そこの何が課題か? って、数字じゃないですよ」
成績だけでは評価されない「見えない課題」がある。10代の若い選手なら能力値で獲ってもらえるが、大卒2年目、24歳の選手ともなれば、指名のハードルは急激に上がる。スカウトは自身の球団が保有する一軍半の選手、一軍の控え選手と比較するからだ。
「今日のゲームも抑えたからってそれでいいわけじゃなくて、やっぱりNPBのレベルに対して、自分の中で比較しないといけない。内容でね。そこを(首脳陣が)描いてやらないと、多分ドラフトは遠ざかっていくのかな、と思ったりしてるんですけど」
目の前の試合で良かったから、それでいいと思うな。ライバルはこの秋のドラフトで上位指名が予想される高校生、大学生、社会人野球の選手たちだ。
14日には高知市でキャンプ中の
西武二軍との交流戦が行われた(雨が予想されたため、12日から14日に順延)。実戦を重ねる中で、篠崎や高橋は今回見せたような好投を続けられるか? 強いインパクトを与えられるか? NPBへと駆け上がるための、チャンスをつかむシーズンが幕を開ける。
PROFILE おかもと・てつじ●1961年3月15日生まれ。178cm98kg。A型。和歌山県出身。吉備高3年時に投手としてセンバツ出場。神戸製鋼で捕手を務め、86年横浜大洋入団。90年
日本ハムへ移籍後、96年に引退。その後、日本ハム二軍監督、横浜一軍総合コーチ、編成部長、信濃監督、
オリックス二軍監督などを歴任。21年に徳島の球団戦略アドバイザー兼コーチとなり、22年に監督就任。6期連続のリーグ優勝に挑む。