この号が出るのは10月中旬。プロ野球界はクライマックスシリーズのファイナルステージで沸いているはずだ。日本シリーズに進出する両リーグの2チームを決める最後の戦いに、プロ野球ファンの目が注がれる。
そんな熱い戦いの裏で、ひっそりと、また惜しまれながら、ユニフォームを脱いでいく選手たちがいる。やり尽くした満足感を持ちながら、ファンに拍手を贈られてグラウンドを去る選手もいれば、最後はボロボロになった状態でユニフォームを脱ぐ選手もいる。人それぞれだが、私が掛ける言葉はいつも一緒だ。
「第二の人生も頑張れよ」
今年も“ビッグネーム”が現役生活に別れを告げた。
中日・
谷繁元信、
小笠原道大、
和田一浩、
オリックス・
谷佳知らが次々に現役からの引退を発表、最後の打席に目頭を熱くさせていたら、大トリはまさに“最後の大物”だった。中日・
山本昌がついに引退を発表した。32年の現役生活で通算219勝。長い間、
浜崎真二さんが持っていた最年長出場記録を破るなど、ここ数年はマウンドに上がるたびに、それがプロ野球の歴史になっていた。

今季限りで引退する山本昌。その実績に敬意を表したい[写真=桜井ひとし]
巨人のコーチ時代、彼にはどれだけ苦しめられたか分からない。スピードがまったくない。打とうと思えばいつでも打てる気がする。なのに打てない。シンカーを武器にして、ボール球を操ることで打者を翻ろうした。ベンチで見ていて「あんなボール、何でウチのバッターは打てないんだ」と腹が立ったこともあった・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン