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堀内恒夫コラム「巨人史上、新しいタイプの二番打者・マギーのおかげで打線が機能」

 

現在の巨人打線は二番に入るC.マギーがいい役割を果たしている/写真=川口洋邦


 苦肉の策だったのだろうが、巨人の「二番・マギー」が機能している。開幕から立岡宗一郎中井大介山本泰寛重信慎之介らを使ってきたが、いずれも力不足で、毎試合のようにスタメンの二番打者が変わった。クリーンアップの露払いを務める二番打者が決まらなかったこともチーム不振の原因の1つになった。しかし、前半戦最後の試合になった7月12日のヤクルト戦[東京ドーム]で「二番・マギー」の新打線がスタート。そこから巨人の勝率が上がった。

「二番打者最強説」というのがある。特にメジャーでは、日本のように一番打者が出塁すれば得点圏に走者を置くために二番打者にバントで送らせるという作戦は取りたがらない。簡単に一死を献上するのがもったいないからだ。実際、今年のヤンキースでは長距離打者のアーロン・ジャッジが二番を打ったりした。スケールは違うかもしれないが楽天が一番に茂木栄五郎、ペゲーロを二番に置いた打線が大成功して、首位争いをしているのと似通っている。

 ジャッジにしろ、ペゲーロにしろ、これだけホームランを打てば、相手バッテリーは警戒する。一発を防ごうとすれば、当然ボールが多くなり、四球が増える。そういう意味では、ペゲーロは一番打者の役割も四番打者の役割も果たしていることになる。

 マギーにも同じようなことが言える。ホームランは多くはないが、ヒットを打てる。選球眼もよく、四球が取れる。このところチームの得点能力が上がったのは、陽岱鋼がコンスタントに出塁し、マギーがヒット、四球でつないでクリーンアップに回す野球ができているからだろう。

 他球団のクリーンアップに比べると、阿部慎之助村田修一は一発が少なく、物足りないかもしれないが、得点圏に走者を置いてクリーンアップと対戦する投手には大きなプレッシャーがかかっている。その意味では、一、二番打者の出塁が有形無形の力をクリーンアップに与えていることになる。

 かつて、西鉄時代の豊田泰光さん、日本ハム時代の小笠原道大(現中日二軍監督)、ダイエー時代のカズ山本のように強打者タイプの二番打者はいるが、私にとって「二番打者」と言えば、やはり元巨人の先輩、土井正三さんに尽きる。私の現役時代には「二番打者には長打力は必要ない」と言われた。そういう意味でも、土井さんこそ「二番打者らしい二番打者」と言ってよかった。小細工が利いて、バントで確実に走者を送ることができれば、エンドランでチャンスを広げることもでき、粘って四球を選ぶこともできた。たとえ出塁できなくても、相手投手に球数を投げさせることができるのだから、目に見えない力をチームに与えたと思う。

 今季の巨人は、最後まで「二番・マギー」でいくのではないか。巨人の球団史上にあまりない新しいタイプの二番打者に、大いに期待したいが、最後にマギーにひと言。シーズン途中から本職ではない二塁へのコンバート、打順もクリーンアップから二番に変更。チームの方針とは言え、よく受け入れてくれたと思う。マギーが二塁を守ることで、阿部、村田を同時に使え、チームにとってはベストの布陣を取ることができた。優等生助っ人に、OBとして感謝したい。

PROFILE
堀内恒夫/ほりうち・つねお●1948年1月16日生まれ。山梨県出身。甲府商高から66年ドラフト1位で巨人入団。1年目に16勝2敗、防御率1位の成績で新人王、沢村賞。72年には26勝をマークして最多勝、MVPに輝く。日本シリーズ11勝は1位タイ。83年現役引退。通算成績は560試合登板、203勝139敗6S、防御率3.27。巨人コーチを経て2004〜05年巨人監督を務めた。08年野球殿堂入り。現在、野球解説者。
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レジェンド堀内恒夫の球界提言コラム。

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