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堀内恒夫の多事正論

堀内恒夫コラム 最終回「高校生の体を守るためには球数制限だけでなく『正しい投げ方』を教えなければいけない」

 

甲子園で力投する金足農高時代の吉田輝星[日本ハム]。連投の是非も話題となった/写真=BBM


 高野連が投手1人の投球数を1週間500球以内とする球数制限を、来春のセンバツ大会から実施することを決めた。かつては横浜高の松坂大輔(西武)、早実の斎藤佑樹(日本ハム)、最近では金足農高の吉田輝星(日本ハム)、大船渡高の佐々木朗希(ロッテ)などが「連投の是非」を巡って話題になった。母校やチームメートのために「腕が折れても……」の覚悟で投げる彼らの姿が感動を呼ぶのだが、その一方で、過密日程の甲子園大会でエースに頼るあまりの酷使が、大器を壊すことにつながりかねないのは確かだ。

 身体的に発達途上にあり、ヒジや肩を痛めやすい高校生に投球数の制限を設けることには意味がある。将来、日本球界の宝にもなり得る素材の彼らを守らなければならないのは当然だ。しかし、高校野球界が長年抱える重要な課題であるだけに、結論を急ぎ過ぎるのは賢明ではない。高野連では今回の球数制限を3年間は試行期間とするようだが、そのほうがいい。高校球児の体、健康を守る方法はそれがすべてではないと思うからだ。

「高校生」と言っても、体力的にまだひ弱な子もいれば、すでに出来上がっている高校生もいる。そんな彼らを一律には扱えないだろう。そして、彼らを教える指導者にも問題がある。ユニフォームを着ていたころ、ヒジや肩を痛めやすい投げ方をしている高校生ルーキーを何人も見たことがある。「正しい投げ方」を教わってきていない高校生が多いのだ。言い方を変えれば「正しい投げ方」を教えられない指導者が多いのかもしれない。これは高校野球界だけではなく、大学野球、社会人野球にも言えることだ。だからこそプロとアマの交流は必要なのだ。

「球数さえ制限すれば高校生の故障は減る」。そんな単純な問題ではないだろう。地方大会も含めた過密日程も問題だ。高野連は3連戦を回避する日程を設定するようだが、もっと楽なスケジュールは作れないものか。

「球数を制限する」考えだけが先行すれば、日本球界から「完投投手」は絶滅するかもしれない。今年、巨人山口俊が「沢村賞」の候補に挙がりながら受賞できなかったのは、完投数がゼロだったからだ。そこには「沢村栄治投手=完投」というイメージをもっと大事にしてもらいたいという思いもあるのではないか。個人的には日本球界が中5日も6日もあけて先発しながら100球でリリーフ投手にマウンドを譲るスタイルがまかり通っているのを、いつも苦々しい思いで見ている。中4日で投げているメジャーとは環境が違うのに……。高校野球の関係者の皆さん、どうかみんなが知恵を出し合って、いい案を絞り出してください。

 さて、このコラムも2011年2月にスタートして、今回で「203回目」を数えます。9年近くもの間、ネット裏から見たこと、感じたことを思いつくままに書いてきました。われながらよく頑張れたと感心します。実は、今回でいったんお休みをいただくことになりました。長い間ご愛読いただき、ありがとうございました。では、現役時代の勝ち星と同じ「203回目」をいい区切りにして、一度マウンドを降りることにします。皆さん、また会う日まで!

PROFILE
堀内恒夫/ほりうち・つねお●1948年1月16日生まれ。山梨県出身。甲府商高から66年ドラフト1位で巨人入団。1年目に16勝2敗、防御率1位の成績で新人王、沢村賞。72年には26勝をマークして最多勝、MVPに輝く。日本シリーズ11勝は1位タイ。83年現役引退。通算成績は560試合登板、203勝139敗6S、防御率3.27。巨人コーチを経て2004〜05年巨人監督を務めた。08年野球殿堂入り。現在、野球解説者。
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レジェンド堀内恒夫の球界提言コラム。

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