今週は読者からの質問にお答えします。大阪府の長谷川敏樹さんからの、記録に関する質問です。 4月30日の阪神-広島戦(甲子園)で、6回表の広島の攻撃のときです。一死一、三塁で丸の当たりは一塁ゴロ。阪神の新井貴一塁手は一瞬躊躇してバックホームしましたが、送球はややそれて三塁走者は生還しました。公式記録では新井貴のエラーとされましたが、先行走者をアウトにしようとバックホームしたのですから、フィルダースチョイス(野手選択)が妥当ではありませんか。 記録員が失策と記録したのは、三塁走者をアウトにするタイミングが十二分にあったからでしょう。微妙であれば、野手選択を説明する野球規則2.28「フェアゴロを扱った野手が一塁で打者走者をアウトにする代わりに、先行走者をアウトにしようと他の塁へ送球する行為をいう(以下略)」が適用されます。
先の塁に投げれば、結果は関係なく野手選択になるものではありません。十分にアウトのタイミングがあれば、それは投げた野手の失策です。野手選択であれば、打者には打点がつき、自責点の対象になりますが、この試合では丸に打点はついておらず、得点した三塁走者のルイスは自責点になっておりません。
長谷川さんの言うとおり「丸に打点がつかなかったのは本塁への悪送球」と記録員が判断したためです。長谷川さんは野球規則を引用され、このようなケースではエラーを記録しないとあると言われています。ご指摘の規則10.12(a)[原注3]には「頭脳的誤り、または判断の誤りは、失策と記録しない」とあります。ここでいうのはアウトカウントを間違えた場合などを指しているので、実際に本塁に悪送球した場合を指すものではありません。
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