左翼手は大飛球に追いつき好捕しましたが、走ってきた余勢で、すぐ後ろのフェンスに衝突し、ボールを落としてしまいました。審判は両手を広げフェアのジェスチャーをすると、守備側の監督はいったん捕球した後に落としたのだから、打者はアウトだと抗議してきました。 これこそ審判の判断の問題になります。確捕したのではなく、落としたと判定されればそれまでで、プレーは続行されます。
捕球に関しては、野球規則2.15に次のように定義されています。
「野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、あるいはユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合は、捕球とはならない。また、ボールに触れると同時、あるいはその直後に、他のプレーヤーや壁と衝突したり、倒れた結果、落球した場合は“捕球”ではない」 2.15にはさらに続きがあって、最後にこう記されています。
「要するに、野手がボールを手にした後、ボールを確実につかみ、かつ意識してボールを手放したことが明らかであれば、これを落とした場合でも“捕球”と判定される」 ですから、[問]の場合は捕球したとは見なされないでしょう。
捕球したかどうかで、判定でもめるケースはしばしば起きます。
85年4月29日の大洋-
阪神戦(横浜)の3回表のことです。阪神のバースが右翼フェンスぎりぎりに大飛球を打つと、大洋のホワイト右翼手は、一度はグラブに入れたのに、フェンスに激突したために落球。右翼の線審はフェアのジェスチャーです。
大洋の
近藤貞雄監督から完全に捕球した後の落球だと抗議がありましたが認められず、12分中断の後、二死二塁で試合は再開されました。