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6月4日の巨人-オリックス戦 失策で決勝点が入ったと報じられていたが、自責点とされていたのはどうして?

 

さる6月4日に東京ドームで行われた巨人-オリックス戦にて巨人は1対0で勝ちましたが、決勝の1点はオリックスの安達了一遊撃手の失策によるものでした。しかし、当日の記録を見ると、オリックスのディクソン投手は失点、自責点とも1となっています。エラーでの失点が自責点になるのはなぜですか。

 珍しい記録に関する質問ですが、お答えします。その試合は筆者も記者席で観戦していました。

 4回裏一死一、三塁で坂本勇人選手が打った遊ゴロを安達了一遊撃手がはじいたので、三塁走者の片岡治大選手が得点し、これが決勝点になったのですが、片岡選手は安達選手のエラーで得点したのではないからです。

 坂本選手が打った瞬間、三塁走者の片岡選手はスタートしていました。したがって、安達選手がはじかなくても、片岡選手は得点できたでしょう。公式記録員もこのプレー直後に「打点あり、自責点になります」とアナウンスしていました。つまり、三塁走者は失策で得点したのではなく、失策は打者が一塁に生きたために記録されたものなのです。

 野球規則10.04は打点の規則ですが、その(a)(3)にこうあります。

「0アウトまたは1アウトで、打者の打球に対して失策があったとき三塁走者が得点した場合は、その失策がなくても、走者は得点できたかどうかを確かめ、失策がなくても得点できたと認めれば、打者には打点を与える」

 打点を与える場合には、失策がなくても得点できたと判断したわけですから、得点した走者は自責点になるわけです。

 翌日、いくつかの新聞では「安達の失策で決勝点が入った」と報じていました。しかし、これは正確ではありません。「4回一死一、三塁から坂本の遊ゴロで奪った1点」(報知新聞)。これが正確な表現です。
よく分かる!ルール教室

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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