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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

一塁ベースカバーに入った投手が落球、打者走者が偶然蹴り飛ばしたが、この場合の正しい措置は?

 

2回無死一塁から一塁ゴロです。一塁手からの送球をベースカバーに入った投手が捕り損ね、走ってきた打者が偶然蹴り飛ばし、ボールは右翼ファウルゾーンまで転がりました。この間に打者は二塁まで、一塁走者は三塁まで進みましたが、この場合の処置は?

 成り行きのまま無死二、三塁で試合は続きます。打者が故意にボールを蹴り飛ばしたのなら、規則6.01(a)の(10)の「走者が打球を処理しようとしている野手を避けなかったか、あるいは送球を故意に妨げた場合」を適用し、その走者をアウトにし、ボールデッドにできますが、走者が偶然に蹴り飛ばしたときには、成り行きで試合を続行しなければなりません。

 5.02の(6)末尾には「走者がフェアボールに触れても、次の場合には審判員はアウトを宣告してはならない。なお、この際は、ボールインプレイである」として、次の条項が挙げられています。

(A)いったん内野手に触れたフェアボールに触れた場合

(B)1人の内野手に触れないでその股間または側方を通過した打球にすぐその後方で触れても、このボールに対して他のいずれの内野手も守備する機会がなかったと審判員が判断した場合

 これは実際に15年7月8日の阪神中日(倉敷)であったプレーでした。2回裏の阪神の攻撃、無死一塁で鳥谷が一塁ゴロを打ちました。ゴロをつかんだルナからの一塁送球をベースカバーに入った投手の若松が捕り損ない、一塁に駆け込んだ鳥谷の右足に当たりました。ボールが外野ファウルゾーンに転がる間に鳥谷は二塁まで進み、一塁走者は三塁まで進みましたが、試合はそのまま続行されました。

[お断り]引用した規則は、2016年版の公認野球規則に従いました。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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