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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

二死満塁で左前打の間に三、二塁走者が本塁へ。しかし、二塁走者が三塁を踏み損ねていたため守備側が抗議。三塁走者の得点は認められる?

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二死満塁で打者が左前に安打し、三塁走者に続き、二塁走者も本塁を駆け抜けましたが、二塁走者は三塁ベースを踏んでいません。守備側はさっそく抗議してきましたが、この場合、三塁走者の得点は認められるでしょうか。

 三塁走者、二塁走者ともに得点は認められず、この回は無得点となります。

 このケースでは“前位の走者の触塁失敗”を定めている規則5.09(d)で考えることができます。規則にはこうあります。

「0アウトまたは1アウトのとき、前位の走者が、ある塁に触れ損ねるか、リタッチを果たさなかったとしても、正しく各塁に触れて進んだ後位の走者は、前位の走者の責を負ってその正しい走塁を取り消されることはない」

 しかし、この規則には続きがあり、

「ただし、2アウト後、前位の走者がアピールによって3人目のアウトとなったときには、後位の走者が正規に本塁に触れていても、その走者の得点は認められない。また、その第3アウトがフォースアウトの形をとったときには、他のすべての走者が正規に本塁に触れていても、その得点は認められない」

 というものです。[問]のケースはこの規則の最後の段に該当します。

 これは2007年8月30日のパイレーツ対レッズで実際に起きたことです。二死満塁でエドウィン・エンカーナシオンが痛烈な左前打を打ちました。三塁走者のケン・グリフィーは本塁を踏み、二塁走者のアダム・ダンも本塁に達しましたが、三塁ベースを踏んでいません。パイレーツはただちにアピールし、それは認められ、レッズは無得点で終わりました。

 もし、レッズが満塁ではなく二、三塁であったら、グリフィーの得点は認められました。ダンはフォースアウトではなくなるからです。

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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