無死走者一塁で、打者は一、二塁間のゴロです。追いついた一塁手がこれを処理し、併殺を狙って二塁へ送球しましたが、ベースカバーに入った遊撃手が触塁後、ベースに真っすぐにスライディングした一塁走者と接触し、ボールをこぼしました。しかし、審判団の判断は、打者走者はセーフです。2017年からの新ルールでは併殺を試みる塁へのスライディングで、接触があった場合、打者走者もアウトではないのでしょうか。 確かに2017年度より野球規則に加えられた、「併殺を試みる塁へのスライディング」について説明した6.01(j)には
「走者が併殺を成立させないために、“正しいスライディング”をせずに、野手に接触したり、接触しようとすれば、本条によりインターフェアとなる」とし、走者はもちろん、打者走者にもアウトが宣告されます。ただし、接触があったとしても、それが“正しいスライディング”だと判断されれば話は別です。
先ほどの6.01(j)には以下のように続きがあります。
「本条における“正しいスライディング”とは、次のとおりである。走者が、(1)ベースに到達する前からスライディングを始め(先に地面に触れる)、(2)手や足でベースに到達しようとし、(3)スライディング終了後は(本塁を除き)ベース上にとどまろうとし、(4)野手に接触しようとして走路を変更することなく、ベースに達するように滑り込む。“正しいスライディング”をした走者は、そのスライディングで野手に接触したとしても、本条によりインターフェアとはならない。また、走者の正規の走路に野手が入ってきたために、走者が野手に接触したとしてもインターフェアにはならない」 問のケースでは一塁走者が正規の走路を走り、“正しいスライディング”をした、と審判が判断したため、打者走者は一塁に生きたと推測できます。[文責=編集部]