10月21日の秋季高校野球関東大会、第3試合の常総学院高─桐蔭学園高戦の9回裏、桐蔭学園高が二死満塁から逆転サヨナラグランドスラムを放ちました。このとき、ベンチから飛び出した桐蔭学園高ナインが走者と接触。常総学院高ベンチから、「走塁の補助行為ではないか?」との抗議がありましたが、認められませんでした。なぜですか。 似た事例を取り上げたことがありますが、あらためて解説しましょう。まず常総学院高ベンチの言う「走塁の補助行為」とは、“肉体的援助”のことを指すと想像できます。野球規則には「打者または走者の妨害」として、6.01(a)(8)に
「三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れるか、または支えるかして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、肉体的に援助したと審判員が認めた場合」に「インターフェア(妨害)」となると定めています。コーチ以外の例えばベンチの選手等に言及されていないのは、そもそもプレー中は当該選手、両ベースコーチ以外がグラウンドに出ることが許されていないからです。
今回のケースでは打球がオーバーフェンスした時点でボールデッドとなっており、関東地区高校野球連盟の公式見解にも
「オーバーフェンスのホームラン(ボールデッド)なので、肉体的な援助には当たらないと審判は判断し、球審が場内アナウンスを行った上でゲームセットとした。大会本部から、桐蔭学園に対して試合後、注意をした」とあるとおり、おとがめなしとなりました。プロ野球などではホームラン後、ベースコーチと打者がハイタッチをするシーンが当たり前にあるのも、こうした理由で厳しくは追及しないということでしょう。ただし、本来はルールを正しく守るべきで、打者走者がホームインした後に喜ぶべきです。相手校への敬意にも欠きます。[文責=編集部]