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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

0対0の9回裏一死満塁から打者はバウンドして左翼スタンドに入る打球を放つ。この場合の試合の最終スコアは?

 

スコアレスのまま試合は9回裏まで進みました。後攻のチームは一死満塁のチャンスを作り、ここで打者が左翼の頭上を越え、バウンドして左翼スタンドに入る(つまりエンタイトルツーベース?)を放ち、三塁走者に続いて二塁走者もホームを踏みました。この場合、サヨナラ試合となりますが、最終スコアはどうなりますか? 1対0でしょうか。ホームランと同様に一応はオーバーフェンスですから、2対0となるのでしょうか。

 結論から言うと、ホームチームの得点は1点しか認められず、この試合の最終スコアは1対0となります。

 質問にあるように、打球は一度、バウンドしてから左翼スタンドに入っています。野球規則5.06(b)(4)(F)に「2個の塁が与えられる場合」として(1)「バウンドしてスタンドに入るか、または野手に触れて進路が変わって、一塁または三塁のファウル線外にあるスタンドに入った場合」と定められていますから、質問の打者は二塁打となり、となれば2点が認められそうですが、サヨナラのケースではこれが異なってくるのです。

 “サヨナラ安打の塁打決定”について触れた9.06(f)には「(前略)最終回に安打を放って勝ち越し点をあげた場合、打者には勝ち越し点をあげた走者がその安打で進んだ塁と同じ数だけの塁打しか記録されない。しかもその数だけの塁を触れることが必要である」とあります。

 つまりエンタイトルツーベースであっても、スコアレスで9回裏を迎えている質問の試合の場合、勝ち越し点をあげた走者(つまりサヨナラの走者)は、三塁からホームまで1個の塁しか進んでいないので、記録上はシングルヒットとなり、1点しか認められないということになります。なお、サヨナラ安打でもホームランだけは打者および走者が挙げたすべての得点が記録される旨、9.06(g)に記されています。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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