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よく分かる!ルール教室 / 元日本野球規則委員 千葉功

延長10回裏、二死満塁で押し出し四球。三塁走者がホームを踏んだものの、打者走者が一塁に進まなかった場合、試合はどうなる?

 

延長10回裏、ホームチームが二死満塁の好機を作り、打者(左打者)が押し出しの四球を選びました。打者走者は三塁走者がホームを踏むのを左打席の中にとどまって迎え入れ、その後、チームメートと歓喜のハイタッチです。しばらくすると球審がアウトを宣告し、試合続行を命じました。なぜでしょうか。

 これは打者のミスです。三塁走者がホームを踏んでいますから、サヨナラで試合終了のように思われますが、二死の場合、打者走者も一塁へ進むことが求められます。

“得点”について触れた野球規則5.08(b)には以下のように定められています。

「正式試合の最終回の裏、または延長回の裏、満塁で、打者が四球、死球、その他のプレイで一塁を与えられたために走者となったので、打者とすべての走者が次の塁に進まねばならなくなり、三塁走者が得点すれば勝利を決する1点となる場合には、球審は三塁走者が本塁に触れるとともに、打者が一塁に触れるまで、試合の終了を宣告してはならない」

 また、これらに対するペナルティとして「(前略)2アウト後、打者走者があえて一塁に進もうとせず、かつこれに触れようとしなかった場合には、その得点は認めず、規則に違反したプレーヤーにアウトを宣告して、試合続行を命じなければならない」とあり、質問のケースはこれに当てはまると考えられます。

 ただし、これが無死、一死の場合、押し出し四球で三塁走者がホームに触れ、打者走者が一塁に進もうとしなかったときには、打者走者にはアウトが宣告されますが、得点は記録され、試合は終了となります。

 一方、押し出し四球後、三塁走者がホームを踏もうとしなかった場合も、一定の時間が経過すると、球審はこの得点を認めず、試合は続行となるので注意が必要でしょう。なお、満塁サヨナラのケースで次の塁に進んで触れる義務を負うのは三塁走者と打者走者だけです。[文責=編集部]
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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