二死走者なしの場面で打者がファウルゾーンにフライを打ち上げました。ところが、飛球を追った三塁手がこれをグラブに当てながらも落球し、判定はファウルに。野手に失策が記録されると思うのですが、ここで命拾いをした打者が、直後に本塁打を放った場合、投手の自責点はどうなるのでしょうか。 質問にあるように三塁手がファウルフライを落球した時点で、この選手には失策が記録されます。三塁手がこれを捕球していれば本来であれば3アウトでチェンジなのですから、その後、本塁打に限らず、連打で失点があった場合でも、“アウトの機会”(後述します)を投手はつかんでいると考えられ、この場合に自責点は記録されません。
自責点について基本的な事項を確認しておきましょう。そもそも、自責点とは
「投手が責任を持たなければならない得点である」と野球規則9.16に記されています。また、同規則の(a)を見てみると、
「自責点は、安打、犠牲バント、犠牲フライ、盗塁、刺殺、野手選択、四球(故意四球も含む)、死球、ボーク、暴投(第3ストライクのときに暴投して打者を一塁に生かした場合も含む)により、走者が得点するたびごとに記録される」 とありますが、この続きに
「ただし、守備側が相手チームのプレーヤーを3人アウトにできる守備機会をつかむ前に、前記の条件をそなえた得点が記録された場合に限られる」と定められています。
「守備側が相手チームのプレーヤーを3人アウトにできる守備機会」(“アウトの機会”)とは実際にアウトにした数と失策によってアウトにできなかった数のことで、端的に言うと、“アウトの機会”が3回あった後の失点は自責点になりません。
質問のケースも同様で、実際、同規則の(b)には
「(1)ファウル飛球の落球によって打撃の時間を延ばされた打者が、安打その他で一塁を得た場合」に、その後、「得点することがあっても、自責点とはならない」と記されています。[文責=編集部]