
一戦一戦が勝負の国際大会だからこそ、基本に立ち戻り1つ先の塁、1点を取りに行く姿勢を貫くしかない
【問】プレミア12の1次ラウンド最終戦の日本対ドミニカ共和国で得点が認められないプレーがありました。1点を追う日本は3回表二死満塁から佐藤都志也選手がレフト前ヒット。三塁走者に続き二塁走者もホームイン、と思いきや一塁走者が三塁でアウトになりました。微妙なタイミングでしたがリプレイ検証では二塁走者の生還よりもアウトが先だったとの判断で得点は1点のみ。この場合、同時だったらどうなのでしょうか? またアウトになる基準とはプレーの起こった瞬間か審判がコールした瞬間か、ご教示ください。 【答】このタイムプレーについては
本欄の「第30回」でも説明したのですが、再確認しましょう。年に何度かは必ずやあるプレーで、要は第3アウトが成立する前ならば得点、成立後ならば無得点となる重要な局面です。ですから本塁を目指す走者は常に全力疾走で駆け抜けるのが基本中の基本。侍ジャパンのユニフォームを着た選手がこれを怠り、本塁への送球が来ないと判断してスピードを緩めたのは非常に残念です。また一塁走者も三塁を狙いアウトになるリスクがあるならば自重すべき走塁でした。幸いこの試合はその後に大量得点を重ね逆転での快勝でしたが、この1点に泣くケースもあるはず。再度「凡事徹底」という言葉をかみしめてほしいものです。
こういったタイムプレーが想定されるケースでは、まず球審は右手で左手首を軽くたたき腕時計(タイム)を連想させるサインを出します。それに同調し各塁審も確認のサインを出し、そのプレーに備えます。で、球審は第3アウトのプレーが想定される塁と本塁へ駆け抜ける走者が同時に見える延長戦上の位置に立ちます。そこで得点ならばネット裏へ振り向き公式記録員に「That run score」と人さし指を立てて示し、無得点ならば「No run score!」と両腕を振ります。なお公認野球規則に得点となるのは「そのイニングが終了する前に」(5.08 a)と書かれていますから、同時は含まれずに無得点です。
またその第3アウトの基準となるのは塁審のコールではなく、プレーの起こった瞬間です。ですから通常のプレーでは落球や離塁などがない確認をしてからアウトをコールしますが、ことタイムプレーの場合はできるだけタイムラグ(時差)が出ないよう瞬時にアウトをコールするよう心掛けています。ちなみに国際試合では対戦当該国の審判は出場しません。NPBの若手審判もプレミア12に出場していますが、その雄姿をテレビ中継で見られないのが残念です。
PROFILE やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。