
情報を更新するためにも大事な3冊。筆者もいつも手元に置いている[写真=筆者提供]
【問】アマチュア野球の審判を長らくしています。シーズンオフのこの時期は来年度に備え各組織での審判講習会などが頻繁に行われ、そこでルールやフォーメーション、実践テクニックなどが伝授されます。NPB審判の方々も同様でしょうが、こういった審判の勉強法を教えてください。 【答】審判には三種の神器とも言うべき必携本があります。それが「公認野球規則」、「野球審判員マニュアル」、「審判メカニクスハンドブック」です。いずれもプロアマ両組織が協力し編纂に深く関わり、ベースボール・マガジン社から発刊されているものです。連盟に所属し、公式戦に出場する審判ならば少なくともこの3冊は熟読すべきでしょう。
「公認野球規則」は230ページ以上もあり、その条文を丸暗記しようなどと思っても無理。疑問に思うプレーに出合ったならば、まずは巻末の索引を活用してください。20ページ近くありますが、かなり具体的にそのプレーがイメージでき、書かれている箇所を見つけやすいはずです。重複している部分も多いので、できれば付箋を貼り付けて読むことをおすすめします。また巻頭にはその年の改正ルールが列記されていますから、ここのチェックもお忘れなく。
ただ明確に書かれていない、あるいはどちらにも解釈できるような難プレーも時には起こります。その対処法を具体的に明示しているのが「野球審判員マニュアル」です。これはいわばプロアマ審判界の共通内規といったもので、2012年に初版が発刊され、すでに第4版までの改訂版が出ています。これも巻頭に難プレーの索引があり、この2冊があれば通常の試合で起こりうるほぼ99%の事例を解決できるはずです。また非公開ですが、「NPB審判員マニュアル」という膨大な量の書類もあり、これはプロならではの特殊ケースの凡例集です。
審判の動き(フォーメーション)に関しては「審判メカニクスハンドブック」にそのすべてが書かれています。2人制から6人制まで網羅されており、絶対的な教科書です。かつての審判界は徒弟制的で、先輩の言うことだけを聞け、動きは体で覚えろ、と言われたものです。が、これではプロアマ共通の系統だったシステムは生まれません。初対面の審判同士のクルーでも円滑に動けるようにとの目的で03年に初版ができ、改善を重ね今は第6版にもなりました。その発案者となったのが今年、野球殿堂入りした故・谷村友一氏(元セ・リーグ審判副部長)でした。
実践テクニックの勉強法につきましてはまた次回に。
PROFILE やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。