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山崎夏生のルール教室

ベースコーチがコーチスボックスから離れても良い場面と、してはいけないこと/元パ・リーグ審判員 山崎夏生に聞く

 

6月22日の巨人西武戦[東京ドーム]、1回裏巨人の攻撃は無死一、二塁から右翼への飛球で二塁走者が三塁へタッグアップ。その際に三塁ベースコーチがコーチスボックスから離れて二塁走者に指示を出したが、この際に三塁塁審と三塁手の間に入り、三塁塁審の視界を遮ってしまった。ルール上は問題ないが、コーチは審判への配慮が求められる


【問】6月末、三塁ベースコーチのトラブルが立て続けにありました。[1]6月22日の巨人対西武戦(東京ドーム)では三塁審判がベースコーチに視界を遮られ激怒していました。[2]6月29日のロッテソフトバンク戦(ZOZOマリン)では三塁走者がベースコーチの肉体的援助という理由でアウトを宣告されました。いずれもコーチスボックス内にいればあり得ないプレイだと思うのですが、そもそもここから出て走者に指示してもいいのでしょうか?

【答】まずベースコーチは、打球が自分を通過するまで、コーチスボックスを出てはいけません。とはいえ、その後に走者に「滑れ」「進め」「戻れ」とシグナルを送るためにコーチスボックスを離れて指示することは、プレイを妨げない限り許されます(5.03.c)。では、上記の2例はどこに問題があったのか?

 まず、[1]ですが、無死一、二塁からの大きなライトへの飛球でした。当然、二塁走者はタッグアップから三塁への進塁を企てます。三塁審判はその送球ラインを読み、判定への最適のポジションを探ります。ところがここで三塁ベースコーチが審判の前に立ち、完全に視界を遮ってしまったのです。いわば審判への判定妨害ですから怒るのも無理はありません。ペナルティはありませんが、配慮はしてもらいたいものです。ちなみに審判は野手の送球ラインに入らぬよう、あるいは守備者や走者、打者の視界を妨げぬようなポジショニングを常に心がけています。

 [2]はプロアマ問わず年に何度かは起こりますね。6.01a(8)に「三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れるか、または支えるかして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、肉体的に援助したと審判員が認めた場合」に走者はアウトになると定めています。つまり走者の前で大きく手をかざして実際に走者に触れたり、あるいは走塁の勢いで倒れかけた走者を抱えたりしたときに適用されるのです。件のプレイはまさに走者を三塁へ押し戻しましたのでアウトもやむなしです。

 その説明の場内放送で「肉体的援助」という言葉が使われた際、スタンドからはざわめきが起こりました。言葉の響きによって、意図しないニュアンスで受け取られた可能性もあります。10年ほど前だったか、これを「身体的サポート」や「走塁アシスト」などと言い換えたらどうかと論議になったこともありましたが、現時点では公認野球規則の正式な文言ですから、この言葉を使わざるを得ません。

PROFILE
やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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