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山崎夏生のルール教室

コールドゲーム時の公式記録の取り扱い方/元パ・リーグ審判員 山崎夏生に聞く

 

5回以降に打ち切りとなった場合の試合の取り扱い方。同じタイミングで終了したとしても点差状況で取り扱い方が決まる


【問】梅雨時の屋外球場ではしばしば雨天中断となることがあります。7月17日の広島DeNA(マツダ広島)、ソフトバンクロッテ(北九州市民)はともに天候が回復せずに6回の攻撃時でコールドゲームとなりました。が、スコアを見ると前者は6回裏二死までの記録があるのに、後者は6回表の3点を奪ったロッテの攻撃は抹消されています。また、高校野球では試合成立の条件は7回のはず。このあたりのルールがよく分かりません。

【答】まず試合成立の条件はMLBおよびNPBでは5回と定められています。ただし5回表終了時に正式試合となることもあります。それはホームチームがビジターチームよりも得点が多いときです(表の例3)。5回裏攻撃時でもホームチームが同点に追いついた、あるいはリードした場合にも成立します(例4、5)。6回以降は勝敗を左右しないプレーのすべてが公式記録として残ります。

 つまり広島対DeNAの試合は5回終了時では1対1。コールドゲームを宣告されたときもこのスコアでしたから6回裏二死二塁までが公式記録なのです。北九州では5回終了時は2対2。ところが6回表にロッテは3得点したものの、その裏のソフトバンクの攻撃が完了していません。つまり同点あるいは逆転の可能性がありますから、6回表の攻撃は一切なかったもの、とされるのです。この回に幻となってしまったプロ初本塁打を放った上田希由翔選手(ロッテ)は不運でしたが、それもやむなし。もしも5回終了時にロッテが勝っていたならば、この3得点は認められました(例6)。要は悪天候の際は5回までにリードすること、そしてそうなったらできるだけ試合進行を早め、試合を成立させることが肝心ですね。

 なお、この7.00「試合の終了」の項目は、最も「注:我が国では、所属する連盟の規定に従う」という条文が多いのです。学生野球や社会人野球の試合成立条件は7回、ただし7イニング制での試合ならば4回、学童野球では近年6イニング制の試合が多く、その場合は5回。また同じコールドゲームでもコールドスコアでの試合終了もありますし、延長戦やタイブレーク制なども連盟規定が最優先。ですから、各審判員は試合前に必ずや主催連盟のアグリーメント(内規)を熟読しておく必要があります。

 余談ですが開始後にノーゲームになってしまえば投打の全記録が抹消され、審判員も出場手当ては出ません。球団も入場料は全額払い戻し。活躍次第で試合成立を願う選手と願わぬ選手、悲喜こもごもです。

PROFILE
やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。
よく分かる!ルール教室

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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