
8月9日のマーリンズ対ブレーブスのダブルヘッダーの1試合目で一塁審判を務め、MLB史上初の女性審判になったジェン・パウォル氏。翌10日の同カードでは球審も務めた[写真=Getty Images]
【問】先月、マーリンズ対ブレーブス(トゥルーイスト・パーク)5連戦で、MLB史上初の女性審判が出場したとの報道を見ました。彼女の名前はジェン・パウォル氏で、一塁、三塁、そして球審の3試合を務めたとか。アメリカでは女性でもプロ野球審判になれるんですね。過去にも女性審判はいたのですか? また日本ではどうでしょうか? 【答】これは審判関係者としてもうれしいニュースでした。意外に思われるかもしれませんが、実は日本の「プロ野球協約」では、選手も審判も参加資格においては性別や年齢、学歴、国籍(日本在住などの条件有り)等々の制限は一切ありません。過去にNPBで女性選手や審判が存在しなかったのは、あくまでも能力・実技の問題であり、性差ではないのです。選手はさておき、審判は150キロのボールを打ったり投げたりするわけではありませんから、女性でも十分に務まります。他の競技では、例えばサッカーではJ1で笛を吹く方もいますし、バスケットボールや柔道などでもよく見かけます。ただし、相撲の行司だけは女人禁制の土俵ですからダメなようです。
アメリカではこのパウォル氏以前にも6人の女性がマイナー・リーグで審判を務めています。MLBの一歩手前の3Aにまで昇格したのがパム・ポステマ氏とリア・コルテシオ氏。いずれもオープン戦では球審の機会を与えられたのですが、最終目標のMLB公式戦の場に立つことはできませんでした。とはいえ、今のパウォル氏は今季76人のレギュラー審判ではなく、シーズン中のケガや休暇による欠員補充の「バケーション・アンパイア」なのです。この段階を経て最終的にレギュラー昇格となれるのか、これもまた注目です。ちなみに彼女は元ソフトボールの名選手であり、審判でありましたが、2017年に意を決しこの道に挑みました。
日本では過去も現在もNPBには存在しませんが、アマチュア野球界には数多くの女性審判がいます。高野連には20人ほどが所属していますし、国際審判として海外での試合に出場している方もいます。いずれそんな中からいよいよ甲子園や大学選手権、都市対抗などのトップレベルの大会に出場する姿を見ることもあるでしょう。
なお、NPB審判を目指すならば12月中旬に行われるNPBアンパイアスクール(詳しくは
HP参照)を受講すること。ここで優秀な成績を収めればまずは独立リーグへ派遣される研修審判、そして二軍戦のみに出場できる育成審判、この修行を経て正規契約のNPB審判になることができます。
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PROFILE やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。