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山崎夏生のルール教室

プロ野球審判員は人手不足? 2人制、3人制審判をやる意義【2】/元パ・リーグ審判員 山崎夏生に聞く

 

フェニックス・リーグなどの教育リーグでは2人制審判が採用されている。この環境で実戦を積むことで、人数が増えた場合に余裕を持って正確な判定を下せるようになる


【問】ファームの試合を観るのが大好きです。若い選手たちへの期待もさることながら、審判たちのキビキビとした動きも際立っていますね。で、いつも思うのですがほとんどが3人制審判です。昨秋のフェニックス・リーグ(宮崎県での教育リーグ)では2人制での試合もありました。一軍では4人制ですし、アマチュアの試合でも然りです。NPBでは審判員不足なのでしょうか?

【答】さて、前回に引き続き今回は少人数制審判のメリットです。たとえ判定位置がベストでなくとも、ベターを見つけに行く創意工夫、失敗をも含めて高める経験値が後の大きな財産となるからです。もちろんそのためには俊敏な動き、脚力が求められます。複数塁を抱えますから、どこでプレーが起こるかを予測する勘も必要です。お互いのアイコンタクトによるスムーズな動きやカバーリングも不可欠です。

 また球場内には判定の根拠となる情報が「見る」以外にもたくさんあります。例えば「音」。完全捕球かワンバウンドか、バットに当たったか空振りか、タッグしたかどうか。あるいは「様子」。野手は自信満々だったか、走者はあきらめていたか、本当に痛がっていたか、観衆の反応は? などなど。それらは「見る」のに不十分な環境をカバーしてくれる不可欠な情報です。そこで脳内コンピューターをフル稼働させ、瞬時にあらゆる情報を整理し最終結論を出す。これが「審判センスを磨く」ということなのです。

 アメリカではルーキリーグから1Aまでは2人制で、2Aでようやく3人制となります。NPBでもプロアマ交流戦や教育リーグではあえて2人制でやることもありますし、二軍戦は原則的には3人制です。ここでの豊富な経験があれば4人制では肉体的にも精神的にも余裕が生まれます。特に2人制についてはNPBでは近年、普及に努めています。年末に行われるNPBアンパイアスクール(実質的な採用試験)では2人制審判を教材とします。パートナーとの協調性、基本的な運動能力、突発的なプレーに対する反応力、プレーを読む力、これらの審判員としての資質やセンスが一番如実に見えてくるからです。この教育効果を知る大学や社会人の連盟では練習試合などでは積極的に2人制審判を採用しています。

 また、野球人口の減少は切実ですが、それ以上に厳しい状況にあるのが審判人口の減少。アマチュア各連盟でも喫緊の課題です。この2人制審判の普及はその救世主ともなるでしょう。

PROFILE
やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。
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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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