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山崎夏生のルール教室

今季の公認野球規則の特に重要なルール改正点【2】/元パ・リーグ審判員 山崎夏生に聞く

 

昨季のものと比べるまでもなく、明らかに大きくなっていることが分かるベース。MLBでは2023年から使用されており、23年シーズンから盗塁数が激増した


【問】いよいよキャンプインし、オープン戦も始まりますね。毎年恒例の今季の改正ルールについての解説をお願いします。特に観戦の上で注目すべき点はありますか? 

【答】前回は改正ルールの主な変更点を説明しましたが、今回は本誌愛読者に向けたNPB観戦での試合運営上の変更点についてです。

 まず一番大きな変化をもたらすのが本塁を除く各塁の拡大化です。これはNPBのみで、すでに公式戦主催全球場の塁もこの規格で作られたものが設置され「統一ベース」と呼ばれます。各辺15インチ(約38センチ)から18インチ(約46センチ)となり、MLBではすでに2023年のシーズンから採用されていました。

 もちろん規則上の塁間距離90フィート(27.43メートル)は変わりません。この距離は本塁の五角形の先端部分と一、三塁の最後方部分で計測されているからです。とはいえ、拡大された分だけ前方と側方に出ますから実質的な一塁への到達距離は3インチ(約8センチ)短くなります。二塁までの距離はその中心点が基準ですので、4.5インチ(約12センチ)短くなります。また面積も1.4倍以上も大きくなり塁上での走者と野手との接触が減るゆえに危険防止策となり、塁先端のギリギリを目がける走塁も多くなるでしょう。

 その結果、当然予想されることですが、間一髪の内野安打が増えますし、盗塁数の増加も見込まれます。実際にMLBでは22年に2486個だった盗塁が23年は3503個、24年は3617個、25年は3440個と激増しました。1試合あたりの盗塁試行数も2前後から2.8前後に上昇しました。ただピッチクロック、牽制球数の制限というルールが同時採用された影響もありますので、NPBではここまでの増加は無いと思われます。とはいえ盗塁数が増えれば得点圏への進塁も増え、「投高打低」からの脱却も見込めるでしょう。

 もう一つの注目点はリクエスト制度の改善。昨年までは当該審判団がネット裏の審判控室でリプレイ映像を自ら操作し検証していました。いわば当事者たちに再判断をさせていたのですが、今季からはNPB事務局内に「リプレイセンター」を開設し、一軍現役審判2名と映像操作担当オペレーター1名を派遣し第三者の判断に委ねることになったのです。これは相当に現役審判諸兄の精神的負担を減らすと思います。ただ昨季までは4名での検証が2名になることの不安、そして映像精度の向上はなされているのか。また確率的には低いものの、同時多発的にリクエストが発生した場合の対応なども危惧されます。

PROFILE
やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。
よく分かる!ルール教室

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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