
4月8日のDeNA対中日戦[横浜]では、2018年に研修審判、19年に育成審判、22年より本契約となった8年目の郡司真里審判員[右]が一軍球審デビューを飾った
【問】いよいよプロ野球が開幕し、ワクワクする毎日です。今季から二軍公式戦は従来のイースタン、ウエスタンではなく3地区制(14チームの東中西3分割)となりますが、特に若手審判たちのハッスルぶりを見るのが楽しみです。ただ選手名鑑に記されているのは彼らの出身校のみで、どのような球歴や審判歴があるのか不明です。また、どのように採用されるのでしょうか? 【答】選手でしたら入団以前から注目を浴びるような活躍をしていますし、甲子園や神宮のスターぞろいですから情報量も豊富ですね。審判界にはそんなスターはいませんし、まったくの無名野球人ばかりです。ただ、一軍戦に出場するようになるとインターネット上にはプロ審判になるまでの球歴や経緯などが記載されるようになりますし、かなりの知名度を誇る審判も現れます。
それ以前の若手審判ですと、そういった情報はほぼ皆無です。個人情報に関わることですのでごく一般的な記載にとどめますが、まずは全員が野球大好き人間で高校野球の経験者です。これは絶対条件と言ってもいいでしょう。そして曲がりなりにもプロ野球のスピード感あふれるプレーに対応し裁くのですから、一定水準以上の運動能力と見る力(動体視力)を持っています。
その試金石となるのが12月中旬に行われるNPBアンパイアスクールです。これは2013年に開校されたのですが、毎年150人前後の応募があります。性別、年齢一切不問、完全門戸開放ですが、やはり本気でプロ審判を目指すならば10代後半から20代前半が望ましいでしょう。このスクールでの成績優秀者3〜4人をまずは準育成審判契約(研修審判員)で1〜2年の独立リーグ派遣、そして秋のみやざきフェ
ニックス・リーグ(NPB教育リーグ)の最終審査を経ての育成審判契約、その後の数年のファーム教育を経ての本契約、さらに1000試合以上にも及ぶ現場経験を積みようやく一軍昇格となるシステムです。よって一軍の晴れ舞台に立ち、レギュラーメンバー入りまでは10年以上の覚悟が必要です。何よりも経験値がものをいう仕事ですから、選手のように高卒ルーキーでも即一軍、という世界ではありません。
ですから採用時も即戦力ではなく、5〜10年先にどのような審判になっているか、が選考基準です。かつては元選手のセカンドキャリア的な職業でしたが、今は完全なる専門職として認識されています。その難関を潜り抜けたスクール修了生はすでに今季の現役58人中28人にもなりました。そのほとんどは審判未経験者でした。
PROFILE やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。