
8月11日、ソフトバンク対ロッテ戦[みずほPayPay]の1回裏一死二、三塁、牧原大成[ソフトバンク]の打球はライトポール際へ。走者一掃の2点タイムリー三塁打となったが、この判定に対しサブロー監督[ロッテ]がファウルではないかとリクエスト。その検証の結果、ホームランとなった
【問】8月11日のソフトバンク対ロッテ戦(みずほPayPay)でリクエストの結果が予想外の展開になってしまう珍プレーがありました。1回裏一死二、三塁から牧原大成(ソフトバンク)の打った飛球はライトポール際へ飛び、一塁審判はフェアの判定。走者一掃の2点タイムリー三塁打となりました。この判定に対しサブロー監督(ロッテ)はファウルではないかとリクエスト。その検証結果はなんとフェアのみならず、ホームランになってしまいました。この判定変更は審判の越権行為ではないでしょうか? 【答】確かにサブロー監督は打球がフェアかファウルかの検証を求めたのですから、ホームランへの変更は想定外の結果だったでしょう。それにより得点も2点から3点になってしまいました。納得がいかないかもしれませんが、リプレイ検証とは事実の確認なのです。
目を凝らして映像を見ると、打球はフェンスライン延長線上にあり、なおかつライン上部のオレンジ色部分を直撃していました。この部分より上はグラウンドルールによりホームランと認定されます。この事実を確認できたのですから、判定変更はやむをえません。もしもフェアだとしても、この映像はすでに両チームにも観衆にも公開され検証もされていますから、
小久保裕紀監督(ソフトバンク)からのリクエストを待つまでもなくホームランが確定していました。
私も同じような経験をしたことがあります。まだ現役審判だった2010年のある試合でのこと。無死一塁からの送りバントが成功したかに見え、そのシーンがオーロラビジョンに映し出されました。まだリクエスト制度のないころですから、クロスプレーや見逃し三振などは絶対に映し出さないようにと審判部からは強い要請が出されていた時代です。
ただ、このプレーは通常の送りバントにしか見えなかったのでしょう。ところがその映像ではバントの打球が打席内でバットに再び当たっている場面がしっかりと映っていたのです。これを見た監督は当然、ビジョンを指差し、誰から見ても当たっていただろうと抗議し、審判団は協議の結果、ファウルに判定変更せざるをえませんでした(5.09.a.8・後段)。もはや動かぬ証拠を突き付けられてしまったからです。どうか少しでも疑念のあるようなプレーの時には映しませんように、と試合後には再度、球団にお願いしたほろ苦い思い出です。
PROFILE やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。