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山崎夏生のルール教室

ピッチコム、ピッチクロックにABS……球界改革に必要なスピード感/元パ・リーグ審判員 山崎夏生に聞く

 

MLBでは2023年から導入されているピッチクロック。前年のピッチコム導入からすぐに採用された[写真=Getty Images]


【問】NPBではサイン伝達機器「ピッチコム」の来季からの導入を決め、12球団に通達したとの報道がありました。MLBではすでに2022年から導入され、翌年にピッチクロック(投球時間制限)も実施されています。他にもリクエスト制度やベースの拡大などの改正ルール、セ・リーグのDH制採用、ABS(自動投球判定システム)の将来的導入など、すべてにおいてNPBはMLBでの実施の数年後に追随するばかりで、改革にスピード感がないように感じます。いかがでしょうか?

【答】私も「野球は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」と叫びたいことが、たびたびありました。まずはMLBの様子を見てから、という慎重さはもはやNPBの伝統であり流儀でしょう。そしてその決定をなすのも12球団実行委員会であり理事会であり、最終決定はオーナー会議というのは周知の事実です。選手会の意向を聞くことはありますし、実施に向けて審判団に実務的質問をなされることもありますが、この決定構造は今も変わりません。

 MLBでは何かアイデアが出たならばまずはやってみよう、という姿勢です。そして最新の電子機器があるならばそれを活用するのに何のためらいもありません。とはいえ、いきなりではリスクもありますので、マイナーリーグや傘下の独立リーグでの試用期間を経て、問題がなければすぐに実施に踏み切ります。こうして今のチャレンジ制度(NPBでのリクエスト制度)やABS判定、独自のルール改正など、野球振興とさらなる球界発展のためにという名目のもとに改革が進んでいます。

 ひるがえってNPBではピッチコムの採用を決めても、本来はサイン伝達を円滑にして試合時間を短縮することが目的ですからピッチクロックとの同時採用であるべきなのに、こちらは来季以降というだけで実施時期は未定です。セ・リーグのDH制度にしても採用決定から実施に1年間もの猶予をもたせるという悠長さ。ルールにしても近年はアメリカ独自の改正を検討項目としての先送りが非常に多くなってきました。ABSは日本の選手会もファンも採用を望む声が多いならば実現に向けて早期に動くべきで、技術的には来季からでも実施できるはず。

 要は、変化を望まぬ村社会ではそこの住人たちの満足感だけなのです。あまりにも様子見ばかり続くと、その村からもっと広い世界へファンの目が向いてしまいますよ。ちなみに今、もっとも改革に積極的なのが高野連。賛否両論あれどこのままではダメだ、という未来を見据えた覚悟を感じます。

PROFILE
やまざき・なつお●1955年生まれ。新潟県上越市出身。高田高を経て北海道大に進学。野球部でプレーした。卒業後は日刊スポーツ新聞社・東京本社に入社するも野球現場へのあこがれから、プロ野球審判としてグラウンドに立つことを決意。82年にパ・リーグ審判員として採用され、以後29年間で一軍公式戦1451戦に出場。2010年の引退後はNPBの審判技術委員として後進の指導にあたった。現在は講演、執筆活動を中心に活躍する。
よく分かる!ルール教室

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元日本野球規則委員・千葉功による野球ルールコラム。

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