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伊原春樹コラム

序盤でエースに代打が的中!緒方監督の冴え渡った見事なさい配

 

6月26日の巨人戦[マツダ広島]、見事な采配で逆転劇を演出した緒方監督[右。左はフランスア]/写真=前島進


 交流戦で7勝11敗と負け越した広島。セ・リーグは最高勝率球団に輝いたヤクルト以外はパ・リーグ相手に苦戦し、黒星が先行したから広島と2位のゲーム差が縮まることはなかったが、リーグ戦が再開し、王者がどのような戦いを繰り広げるか注目していた。

 すると6月22日からの阪神戦(甲子園)で3連勝、さらに26日からの巨人戦(マツダ広島)でも3連勝。この6試合で計53得点、1試合平均で8.8得点と打線が機能したがその裏にあった緒方孝市監督の冴え渡った勝負勘も見逃せない。

 なかでも出色だったのが26日の巨人戦だ。この試合、初回にエースのジョンソンが巨人打線につかまって、いきなり4点のビハインドを背負った。しかし、その裏、巨人先発・鍬原拓也の不安定な立ち上がりにつけこみ、一死満塁から五番・松山竜平が右翼席へ同点満塁弾。勝負は振り出しに戻ったが、3回表、岡本和真に勝ち越しソロを許して4対5と再び追いかける展開となった。

 相手に流れが傾きかけていたが、その裏、すかさず丸佳浩が同点弾を右翼へ架けると、続く四番の鈴木誠也は四球。暴投が続き、三塁まで進むと、松山に勝ち越し二塁打が飛び出した。投手は森福允彦に代わったが、野間峻祥の右前打で一、三塁。さらに野間は二盗を決めて二、三塁となる。西川龍馬は中飛に倒れて一死。次打者は捕手の石原慶幸だったが、ここで緒方監督は會澤翼を代打に送った。

 同じ捕手だが、確かに會澤のほうが打力に優れている。だが、まだ3回と序盤だ。「思い切ったな」と心の中でつぶやいていると、背番号27は見事に中前へ2点適時打。そして、打者は投手のジョンソンだ。この場面、緒方監督が動くかどうか注視していたが、代打にバティスタを指名した。ここでもまたまた「思い切ったな」と思わず声が出た。

 8対5と3点リード。投げているのが5、6番手の投手だったらまだしも、エースのジョンソンだ。私だったら、そのまま打たせていた。ただ、緒方監督は「勝負どころだ」と感じていたのだろう。指揮官の期待に応え、バティスタはバックスクリーン左へ11号2ランを運んだ。これで10対5。広島有利の展開となった。

 その後、2番手のフランスアが5回を1安打無失点、9奪三振の力投。広島は4回、6回、7回にも追加点を奪い、14対5。初回に4点を先制されながらの大勝劇は見事だったが、巨人を3タテするきっかけとなる緒方監督の見事な采配だった。

 今季、3連覇を目指す広島。7月1日現在、2位・阪神とヤクルトに6.5ゲーム差で首位を走っている。私もユニフォームを着ているころ、オールスターまでに2位に5ゲーム差つけることを1つの目安にしていた。それだけ離れていると、後半戦だけで逆転される可能性はかなり低くなるからだ。このまま行けば、広島3連覇の可能性は相当高いだろう。

PROFILE
伊原春樹/いはら・はるき●1949年1月18日生まれ。広島県出身。北川工高(現・府中東高)から芝浦工大を経て、71年ドラフト2位で西鉄入団。76年巨人に移籍し、78年古巣ライオンズに復帰して80年限りで現役引退。通算成績は450試合出場、打率.241、12本塁打、58打点。81〜99年に西武で守備走塁コーチを務め、西武黄金時代の名三塁コーチとして高い評価を受ける。2000年阪神コーチ、01年西武コーチから02〜03年西武監督、04年オリックス監督を歴任。07〜10年巨人ヘッドコーチを務め、14年は西武監督。現在は野球解説者として活躍している。
伊原春樹の野球の真髄

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座右の銘は野球道。野球評論家として存在感を放つ伊原春樹の連載コラム。

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